ハイスピードカメラ(高速度カメラ)とは?特長や選び方を解説

ハイスピードカメラ(高速度カメラ)について

目次

ハイスピードカメラ(高速度カメラ)について原理から基礎知識、利用シーンなどをご紹介。
またフォトロンのハイスピードカメラの種類や撮影サンプル動画もご案内します。

ハイスピードカメラとは(原理)

ハイスピードカメラ(高速度カメラ)とは、目にも止まらぬ短時間の高速現象を高速撮影して、スローモーションで観察する特殊なビデオカメラです。一般的なビデオカメラは、1秒間に30コマの撮影を行うのに対して、ハイスピードカメラ(高速度カメラ)は、1秒間に数百~数百万コマもの超高速撮影をすることができます。

これにより一瞬の現象をスローモーション動画として克明に記録し、可視化することができます。撮影速度はfps=frame per secondの単位で表し、ハイエンド機種では200万fpsと超高速撮影が可能です。

また、ハイスピードカメラは一般的なビデオカメラと異なり、目的の計測・解析に適した多くの周辺機器や解析ソフトウェアを組み合わせることで、一つの「スローモーション解析システム」として導入することが多くあります。

ビデオカメラとハイスピードカメラの違い

通常のビデオカメラ(30fps)とハイスピードカメラ(2000fps)の違い

「スローモーション解析システム」の基本構成

スローモーション解析システムの基本構成

ハイスピードカメラの選び方

近年では市販のスマートフォンやデジカメに高速撮影機能が搭載されるようになり、高速撮影は身近なものとなってきました。しかし、計測・解析用途のハイスピードカメラは一般的な市販のカメラとは異なり、高速現象を的確に撮影するために多くの仕様・機能が存在します。 また技術の進歩により、様々な性能を持った機種が登場していますが、選定は逆に難しくなっているといっても過言ではありません。

そこで、ハイスピードカメラを選定する上で必要な基礎知識と、代表的な用途と併せて最適な機種を選定する方法を紹介します。

撮影速度(フレームレート)で選定

フレームレートは、1秒間に何枚の画像を撮影できるかを示す指標であり、通常は「fps(frames per second)」という単位で表されます。高フレームレートの撮影が可能であることで、通常の目では捉えきれない瞬間を鮮明に記録することができます。

選ぶ際には、必要なフレームレートを明確にすることが重要です。例えば、流体の動きを観察する場合は、数千fpsが必要になることがありますが、一般的な動作の分析には数百fpsでも十分な場合があります。

参考: フレームレートとシャッター速度の違い

シャッター速度で選定

シャッター速度とは、カメラのシャッターが開いている時間の長さを指し、これにより撮影される画像の明るさや動きの鮮明さが大きく影響を受けます。特に高速で動く被写体を捉える場合、シャッター速度が速いほど、動きのブレを抑え、クリアな画像を得ることが可能です。

例えば、微粒化や破壊現象、工業プロセスの撮影では、被写体が瞬時に動くため、シャッター速度を短く設定することが求められます。

一般的に、ハイスピードカメラでは1/1000秒以下のシャッター速度が必要とされることが多く、これにより高速現象を正確に捉えることができます。

参考: フレームレートとシャッター速度の違い

感度で選定

ハイスピードカメラにおける感度は、撮影環境や対象物の特性に大きく影響を与える重要な要素です。感度が高いカメラは、暗い環境でも明るい画像を得ることができるため、特に低照度の条件下での撮影においてその真価を発揮します。

例えば、製造現場での奥まった箇所の撮影や顕微鏡に載せて撮影する際には、十分な光量が確保できない場合も多く、感度の高いカメラが必要不可欠です。

感度は通常、ISO感度として表現され、数値が高いほど感度が良いことを示します。しかし、感度を上げることでノイズが増加する可能性もあるため、画質とのバランスを考慮することが重要です。特に、研究や工業用途での高精度な撮影を行う場合、感度だけでなく、ノイズの少なさや画質の維持も考慮する必要があります。

参考: 用語解説|光の波長とデジタルカメラの波長感度特性

イメージセンサで選定

イメージセンサは、光を電気信号に変換する役割を担っており、その性能によって画像の鮮明さや色再現性が決まります。一般的に、ハイスピードカメラにはCMOSセンサが使用されます。

CMOSセンサは、低消費電力で高速な読み出しが可能なため、ハイスピード撮影に適しています。また、集積回路技術の進化により、コストパフォーマンスも向上しています。

解像度で選定

解像度は、カメラが捉えることのできる画像の詳細度を示し、高解像度であればあるほど、より鮮明で細部まで見える映像を得ることができます。

特に、動きの速い被写体を撮影する場合、解像度が低いと、動きがブレてしまい、重要な情報を見逃す可能性があります。

解像度は通常、横×縦のピクセル数で表されます。例えば、1920×1080ピクセルの解像度は、フルHDと呼ばれ、一般的な映像制作において広く使用されています。

しかし、ハイスピードカメラでは、さらに高い解像度が求められることが多く、4Kやそれ以上の解像度を持つモデルも存在します。

また、解像度は撮影するシーンや目的によっても異なります。例えば、流体の動きを観察する場合は、細かい流れを捉えるために高解像度が必要ですが、逆に大きな動きや全体の動作を捉える場合は、そこまで高解像度でなくても十分な場合があります。

ハイスピードカメラの価格帯や選び方については、下記記事でも解説していますので、ご参照ください。

参考: ハイスピードカメラの価格帯と選び方

ハイスピードカメラの主な利用シーン

ハイスピードカメラ(高速度カメラ)は、おもに企業や大学などの研究・開発機関など様々な分野で使われています。

たとえば、自動車の衝突時の安全性を高める場合、まず自動車が衝突する瞬間を撮影し、スローモーションで観察し、どの部分が弱いのか理解することではじめて、どの部分をより頑丈に設計するかを検討することが可能になります。

このように人間の眼や一般的なビデオカメラでは捉えきれない瞬間の現象をスローで見えるようにすることで、瞬間に何が起こっているのかを理解することに効果を発揮します。

流体撮影

流体撮影では、液体や気体の挙動を高速度で捉えることができ、通常のカメラでは見逃してしまう微細な動きや変化を明確に記録できます。

例えば、微粒化や気泡の形成、流体の混合過程など、瞬時に変化する現象をスローモーションで分析することができます。

この技術は、科学研究や工業プロセスの最適化において非常に重要です。流体力学の研究者は、ハイスピードカメラを用いて流れのパターンや渦の発生を観察し、理論モデルの検証や新しい発見に役立てています。

活用例:流体の可視化

溶接撮影

溶接は、金属を高温で接合する工程であり、その過程は非常に速く、目に見えない瞬間が多く存在します。ハイスピードカメラを使用することで、これらの瞬間を捉え、溶接の品質やプロセスの理解を深められます。

具体的には、溶接時のアークの動きやスパッタの発生、さらには溶融金属の流れなどをスローモーションで撮影できます。これにより、溶接の条件や技術がどのように影響を与えるかを分析し、最適な溶接条件を見つける手助けとなります。

活用例:溶接の可視化

切削加工撮影

切削加工は、金属やプラスチックなどの材料を削り取ることで形状を作り出す工程ですが、この過程は非常に高速で行われるため、肉眼では捉えきれない微細な動きや現象が発生します。切削工程そのものに加え、切りくずの出方や工具への当たり方、工具の振動など、ハイスピードカメラを使用することで、これらの瞬間を高精度で記録し、分析できます。

例えば、切削工具と材料の接触部分では、摩擦や熱が発生し、切削条件によっては異常な振動や破損が生じることがあります。

ハイスピードカメラを使ってこれらの現象を撮影することで、切削条件の最適化や工具の寿命向上に繋がる貴重なデータを得ることができます。

活用例:切削加工の可視化

燃焼撮影

燃焼は瞬時に起こる現象であり、その過程を詳細に分析するためには、高速での撮影が不可欠です。ハイスピードカメラを使用することで、燃焼の初期段階や炎の挙動、さらには燃焼生成物の動きなどをスローモーションで捉えることができます。

例えば、エンジンの燃焼過程を観察する際、ハイスピードカメラは数万fps以上で撮影することが可能です。これにより、燃料の噴霧や点火、燃焼の進行状況を詳細に分析することができ、エンジンの効率や排出ガスの改善に向けた研究に役立ちます。

また、火災の原因究明や安全対策のための研究でも、燃焼のメカニズムを理解するためにハイスピードカメラが活用されています。

活用例:燃焼の可視化

ハイスピードカメラの選び方については、下記記事でも解説していますので、もしご興味ある方はご参照ください。

参考: ハイスピードカメラの選び方

フォトロン ハイスピードカメラ製品一覧

世界40か国以上の著名な研究機関・大学・グローバル企業でフォトロンのハイスピードカメラはご利用いただいています。研究開発者向けの「FASTCAM」シリーズをはじめ、市場や目的に沿ったソフトウェアやシステムも多数用意しています。

研究開発向けFASTCAMシリーズ

フォトロンのFASTCAMシリーズは、研究開発の現場で求められる高い性能を誇るハイスピードカメラです。

このシリーズは、特に科学実験や工業プロセスの観察に最適化されており、瞬間的な現象を捉えるための優れた機能を備えています。

FASTCAMシリーズは、シャッター速度や感度においても優れた性能を発揮します。高感度なイメージセンサを搭載しているため、暗い環境でもクリアな映像を撮影でき、研究者が必要とするデータを確実に取得できます。

超高速撮影Pharsighted

Pharsighted社が製造する超高速撮影可能なハイスピードカメラです。
Pharsightedは、VGAで数十万fps、最高撮影速度は272万fpsの超高速撮影性能を有します。
通常のハイスピードカメラでは撮影できないような、超高速な一瞬を捉えます。

ハイスピード監視PhotoCam Detector

ハイスピード監視PhotoCam Detectorは、特に監視用途に特化した高速度カメラです。

PhotoCam Detectorは、通常のカメラでは捉えきれない高速での動きを鮮明に記録することができるため、さまざまな分野での利用が期待されています。

例えば、工場の生産ラインや交通監視、さらにはスポーツイベントの分析など、多岐にわたるシーンで活躍しています。PhotoCam Detectorの最大の特徴は、その高いフレームレートです。これにより、瞬間的な動作を詳細に捉えることができ、後からの解析や研究に役立ちます。

また、シャッター速度も非常に速く、動体ブレを最小限に抑えることが可能です。これにより、動きの速い対象物でもクリアな映像を提供します。

エントリーモデルINFINICAM

INFINICAMは小型軽量ながら1,000fpsの撮影ができて、価格も80万円とお手軽なエントリーモデルのハイスピードカメラです。

撮影データはPCメモリに転送できるので、リアルタイム画像処理も可能です。
照明、レンズ、三脚などすぐに撮影できる機材を一式にした「スターターキット」のオプションもあります。

ハイスピードカメラ サンプル動画集「未体験映像の世界」

「未体験映像の世界」は、ミルククラウンでよく知られるような、目にも止まらない高速現象を「ハイスピードカメラ(高速度カメラ) 」で撮影し、「スローモーション映像」として皆様に紹介するコーナーです。学術/研究開発や工業/生産・製造、自動車関連などのアプリケーションのほか、スポーツやメディカル、バラエティでの撮影動画も公開しています。

ハイスピードカメラ サンプル動画集「未体験映像の世界」

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