生命科学

生命科学の分野におけるハイスピードカメラの活用

生命科学の分野でハイスピードカメラは、細胞の分裂や運動、筋肉の収縮、動物の行動解析、昆虫の飛行解析など、高速な生物学的プロセスの観察や解析に利用されます。ハイスピードカメラが短時間の出来事や微細な動きを詳細に捉えることによって、生命現象の詳細な解明や動きの解析が可能となります。

生命科学の分野での活用のポイント

生命科学の分野でハイスピードカメラを活用する際には、以下のポイントを抑えることが重要です。

ポイント01 適切な状態のサンプルを用意する

生命科学の実験では、ハイスピードカメラを使用する前に、撮影対象のサンプルを適切に準備することが重要です。例えば細胞の観察の場合、生きた状態で観察するための培養条件や温度制御、細胞の膜透過性に影響を与えない適切な染料の選択などが必要になります。サンプルの準備と制御を適切に行うことで、生物学的な情報を正確かつ信頼性の高い形で得ることができます。

ポイント02 ハイスピードカメラと他の技術を統合する

生命科学の実験では、ハイスピードカメラを他の技術や装置と組み合わせることが多いです。例えば、光学顕微鏡やレーザー顕微鏡などと組み合わせることで、より詳細な情報や複合的なデータを得ることができます。そうして複数の技術を統合することで、生命現象の多面的な解析や相関関係の検証が可能となります。またハイスピードカメラで観察できる波長は可視光のため、暗視野顕微鏡や蛍光観察ではI.I.（イメージインテンシファイア）との組み合わせが必須となります。

ポイント03 長時間の観察やイベント検知ができるカメラを使用する

生命現象は短時間だけでなく、長時間にわたって進行することもあります。しかし通常のハイスピードカメラではデータの蓄積や処理の問題で、短い時間しか撮影できないことも多いです。そのため長時間の撮影に対応したハイスピードカメラを選ばなければならない場合もあります。もしくは監視型ハイスピードカメラを使用すれば、検知したイベントの前後のみを効率的に撮影できます。具体的には、周期的な挙動や、輝度変化、エリアによる閾値の設定でイベント検知を行うことが可能です。

撮影システムの構成

生命科学の分野でのシステム構成は、ハイスピードカメラ本体を顕微鏡に取り付けて観察することが一般的です。暗視野や蛍光観察を行う場合は、I.I.（イメージインテンシファイア）をハイスピードカメラに接続し、それを顕微鏡に取り付けて観察します。I.I.は微弱な光を数千～数万倍に増幅することができるため、通常では暗くて正確に写せないような対象であっても、撮影することが可能になります。