ハイスピードカメラの基礎知識と選び方

ハイスピードカメラの基礎知識と選び方
CATEGORY
可視化
KEYWORD
解析 / 試験・測定 / 研究・開発 / 溶接 / 燃焼

2019.04.13

ハイスピードカメラを選定する上で必要な基礎知識と、代表的な用途と併せて最適な機種を選定する方法を紹介します。

近年では市販のスマートフォンやデジカメに高速撮影機能が搭載されるようになり、高速撮影は身近なものとなってきました。しかし、計測・解析用途のハイスピードカメラは一般的な市販のカメラとは異なり、高速現象を的確に撮影するために多くの仕様・機能が存在します。
また技術の進歩により、様々な性能を持った機種が登場しているが、選定は逆に難しくなっているといっても過言ではありません。そこで、ハイスピードカメラを選定する上で必要な基礎知識と、代表的な用途と併せて最適な機種を選定する方法を紹介します。

1.ハイスピードカメラとは

ハイスピードカメラとは、スローモーション動画を撮影できる特殊なビデオカメラです。一般的なビデオカメラが1秒間に30コマの撮影を行うのに対して、高速度カメラは1秒間に数千、数万コマもの超高速撮影をすることができます。これにより一瞬の現象をスローモーション動画として克明に記録し、可視化することができます。
また、ハイスピードカメラは一般的なビデオカメラと異なり、目的の計測・解析に適した多くの周辺機器や解析ソフトウェアを組み合わせることで、一つの「スローモーション解析システム」として導入することが多くあります。

ビデオカメラとハイスピードカメラの違い

ビデオカメラとハイスピードカメラの違い

スローモーション解析システムの基本構成

スローモーション解析システムの基本構成

2.撮影速度

1秒間に何回撮影できるか(=時間分解能)を示す値のことを撮影速度といいます。単位は「コマ/秒」あるいは「fps(frames per second)」で表記されます。撮影速度を高くすると、高速現象をよりスローに、より詳細に可視化することができます。

代表的な被写体と撮影速度の目安

代表的な被写体と撮影速度の目安

3.最適な撮影速度の目安

観察したい現象に対して30~100倍程度の分解能があれば、十分に現象を可視化できることが多くあります。例えば1m/秒で動く被写体を1㎟の範囲で撮影する場合を考えてみましょう。

1m/秒の被写体が画面の端から端へ移動する時間÷30
=1/1,000秒÷30
=1/30,000秒

となり、撮影速度は30,000コマ/秒が一つの目安となります。

ドリルやファンなどの回転体を撮影する場合は、その回転毎分(rpm=rotations per minute)と等しい撮影速度(コマ/秒)だと充分な分解能で撮影できることが多くあります。例えば、3,000rpmのドリルを撮影する場合は、撮影速度は3,000コマ/秒が一つの目安となります。
この回転毎分とハイスピードカメラの撮影速度の数値が同じである場合、回転角6度ごとに1コマ撮影することになり、被写体が1回転する間に60コマの撮影をすることができます。
また、回転角1度ごとに1コマ撮影したい場合には、回転毎分の6倍の撮影速度に設定すればよいことになるので、撮影速度は18,000コマ/秒となります。

4.シャッター速度

1コマの画像を撮影するために、電子シャッターを開き、イメージセンサを露光する「時間」を表します。
露光時間を短くすることを「シャッター速度を上げる」などと表現します。単位は「sec(秒)」で表記され、シャッター速度を高く設定する(=露光時間を短くする)ほど被写体のブレを抑えられたシャープな画像が得られます。
撮影速度・シャッター速度を高くすればするほどイメージセンサが受け取る光の量は減り、撮影画像は暗くなります。そのため、ハイスピードカメラの撮影では一般に高輝度の照明が必要になります。

撮影速度とシャッター速度

撮影速度とシャッター速度

5.感度

イメージセンサが「光をどれだけ電気信号に変換できるか」を表します。
感度が高ければ、より弱い光でも明るい画像を撮影することができます。また、感度が高いほど、撮影速度やシャッター速度を高く設定できるため、高感度タイプのハイスピードカメラでは撮影条件によっては照明なしでも運用可能です。
なお、ハイスピードカメラの感度は選定において重要な性能ですが、カタログなどに記載されている「ISO感度」の数値には注意が必要です。なぜなら、ハイスピードカメラのISO感度測定に関しては各メーカで異なる測定方法・表記方法を採用しているからです。
そのため、同一メーカの機種を比較する場合には有効ですが、異なるメーカ同士をその数値で比較することはできません。異なるメーカを比較する場合には実機を用いて「同条件で撮影比較」をすることが望ましいです。
その理由は、例えば、A社の「ISO感度10000」という機種と、B社の「ISO感度8000」という機種を比較した場合、実際に比較してみるとB社の方が鮮明に撮影できたということすらあり得るためです。

6.カラー/モノクロセンサ

ハイスピードカメラのイメージセンサには「カラータイプ」と「モノクロタイプ」があります。
カラータイプは、色情報を基にして解析する場合やプレゼンなどの説明用途に適しています。
モノクロタイプは、カラータイプに比べて感度性能が高いため、シャッター速度を上げることや低照度での撮影が必要な場合に適しています。

7.解像度

空間分解能を示す値で、1コマの画像を構成する画素(pixel)の総数を横×縦で表します。解像度が高いほどより細かな部分まで可視化することができます。

8.フルフレームとセグメントフレーム

ハイスピードカメラは、イメージセンサの使用範囲を限定することで撮影速度を上げる機能を搭載しているものが多くあります。使用範囲を限定せずに、最大解像度で撮影するときの撮影速度を「フルフレーム撮影速度」、使用範囲を限定して撮影するときの撮影速度を「セグメントフレーム撮影速度」といいます。

解像度と撮影速度の関係

解像度と撮影速度の関係

9.メモリ容量

ハイスピードカメラで撮影されたデータは、カメラ本体に搭載されたメモリに記録されるものが多くあります。そのため、メモリの容量が大きいほど長時間の撮影が可能になります。
ハイスピードカメラの撮影では一瞬で大量の画像を取得するため、撮影時間は一般に数秒程度になります。例えば、1,000コマ/秒の撮影速度、1024×1024の解像度、モノクロ12bit階調で撮影すると、1秒の撮影で約1.5GBのデータ容量となり、8GBのメモリ容量のカメラでは約5秒、128GBのメモリ容量のカメラであれば約87秒の撮影が可能となります。

10.トリガ

ハイスピードカメラの撮影では、「一瞬の現象」と「数秒の撮影時間のタイミング」を合わせる必要があり、そのタイミングをカメラに伝えるものがトリガです。
例えば、外部機器からのパルス信号をトリガとしてハイスピードカメラに入力して撮影を開始したり、エンドレス撮影状態(撮影データがメモリいっぱいになると古いデータから順次上書きして撮影を続ける状態)のカメラに現象が終わったタイミングでトリガを入力し直前までの撮影データを残すなど、さまざまな方法で撮影をするこが可能です。

代表的なトリガモード

代表的なトリガモード

11.データ転送

ハイスピードカメラ本体のメモリは揮発性が多く、この場合に撮影データはカメラの電源を落とすと消えてしまいます。そのため、保存しておきたい撮影データはPC等の外部機器に転送する必要があります。
大容量の撮影データを転送することになるため、転送時間・転送方式などが重要な性能指標となります。

12.用途例

落下衝撃試験の3次元動体解析

落下衝撃後の外観観察だけでは分からない、衝撃の加わり方や破壊のプロセスを、スローモーションで直接観察することができます。2カメラを同期して撮影することも可能で、3次元動体解析ソフトウェアと組み合わせることで、変位・速度・加速度などを定量解析することができます。

落下衝撃試験の3次元解析システム

落下衝撃試験の3次元解析システム

マシニングセンタ工具の2次元動体解析

切削工具の高速回転やキリコの飛散をスローモーションで観察することができます。マイクロスコープレンズを使用すれば微細な切削工具の挙動や、微小なキリコの挙動も拡大高速撮影が可能です。また、2次元動体解析ソフトウェアとの組み合わせで、工具振動の変位解析や振動の周波数分布も解析することができ、最適な工具仕様や加工条件を検証することができます。

切削工具の2次元動体解析システム

切削工具の2次元動体解析システム

引張試験のひずみ解析

引張試験を高速撮影することで材料破断の一瞬のプロセスを観察することができます。試験片にスプレーなどで塗布したランダムパターンを画像処理で追跡するDIC解析(デジタル画像相関法:Digital Image Correlation)ソフトウェアとの組み合わせで、非接触かつ面でひずみを解析できるほか、3次元での形状変形も解析することができます。

引張試験のひずみ解析システム

引張試験のひずみ解析システム

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