技能伝承とは?現状の問題点やDXで課題解決する2つの方法を紹介

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目次

製造業界では安定的に高品質の商品を維持するために、技能伝承を進めていかなければなりません。人口減少により人材不足が深刻化する日本では、技能伝承がますます必要となってきます。

とはいえ、「技能伝承が上手くいっていない」「どのように技能伝承すべきか分からない」という企業も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、

  • 技能伝承における課題や問題点
  • デジタルを活用した技能伝承の方法
  • 技能伝承の事例や方法

などをご紹介します。最後に、技能伝承を効率よく進めることができる「動画マニュアル」についてもお伝えしますので、参考になれば幸いです。

「Photron-Mobile Video Creator(MVC、フォトロンモバイルビデオクリエイター)」なら技術伝承に役立つ動画マニュアルを簡単に作成できます。

技術伝承とは?「技能伝承」との違いも

技能伝承とは、培ってきた技術的なスキルやノウハウを次の世代へ伝達することです。熟練技術者から後継者・社内の関係者などへ伝達し、長期的に技能を活用していきます。この言葉だけ聞くとシンプルなように感じますが、長年の経験から習得できる技術を伝えるには多くの課題があります。

企業が保有している技能・技術には言語化することが難しい「暗黙知」があります。暗黙知とは、熟練技術者の中に積み上げられた経験と、勘や無意識でおこなっている隠れたコツなどのことです。

例えば、陶芸初心者と30年のキャリアをもつ陶芸家が同じやり方で壺を作っても、仕上がりには歴然の差が生まれます。陶芸家は自身の経験から、力の込め具合や手の置き方などが分かっているためです。

このような暗黙知を若い世代に引き継ぎ、作業スピードや完成品の質を高めることが重要となっています。それでは、技能伝承を進めるにあたってはどのような課題・問題点があるのでしょうか。よくある課題・問題点をまずはご紹介します。

技能伝承の課題・問題点

技能伝承の課題・問題点には以下のようなものがあります。

  • 熟練技術者の高齢化
  • 技能伝承の時間不足
  • 熟練技術者と若手のコミュニケーション不足

熟練技術者の高齢化

熟練技術者の高齢化により、技能伝承がされないまま定年退職を迎えてしまうことが問題となっています。特に、製造業では今なお「2007年問題」の影響を受けています。

2007年問題とは、2007年に団塊世代が定年を迎え、労働力の減少やノウハウが継承されないなどの問題です。製造業は属人化している技術やノウハウも多いため、「熟練技術者の技能をどのように伝承していくか」が課題となっています。

技能伝承の時間不足

日常業務が忙しく、技能伝承に費やす時間を確保できない課題があります。

若手や中堅の職人が、熟練技術者の仕事を見るだけで技術を盗むのは簡単ではありません。技術を伝えるには、マンツーマンで指導したり繰り返し学んだりする時間が必要です。

しかし、生産量をこなすだけで1日の業務が終了してしまうなど、技能伝承のための時間確保が難しいことが現状です。

熟練技術者と若手のコミュニケーション不足

熟練技術者と若手のコミュニケーション不足も技能伝承の課題といえます。

熟練技術者は、先輩の技術を見よう見まねで習得した人も多くいます。そのため、「自分ができたから下の世代もできるだろう」と考えたり、「そもそも教えてもらってないから教え方が分からない」という人も多かったりします。

また、技能を伝承することで「自分の仕事が取られるかもしれない」と熟練技術者が感じ、ノウハウをあえて属人化・ブラックボックス化してしまう人も。

ブラックボックス化しないようにするためには、管理職や経営層自らが、コミュニケーションの円滑化や技術伝承の大切さを伝えていくことが重要です。

それでは、技能伝承の課題はどのような方法で解決できるのでしょうか。続いては、デジタルを活用した技能伝承の方法をご紹介します。

デジタルを活用して技能伝承をDXする2つの方法

あらゆる業界でデジタル化が活発におこなわれています。技能伝承も例外ではなく、以下のような方法を用いてデジタル化が可能です。

  • 動画マニュアルを作成する
  • loTやAIシステムを活用する

デジタルを活用し、技能伝承をDXする2つの方法を説明していきます。

方法1.動画マニュアルを作成する

動画マニュアルとは、作業内容や操作手順などを映像で学べるマニュアルです。文字や画像だけの紙マニュアルとは違い、実際の映像を使って細かい動作まで伝えやすいことが特徴です。

例えば「加工面が粗くならないよう、適度なスピードで手を動かしていく」など、言葉や文字だけでイメージしづらい表現も、映像であれば実際の手を動かすスピードなどから伝えやすくなります。

言葉や文字では伝えにくい技術。それを絶やさないよう、動きを見せられる人がその様子を映像で残す。このようにして実際の映像で技術を残し続けるのは、会社にとっても貴重な財産になっていきます。

とはいえ、「さあ動画マニュアルを作ろう」といっても、どこからどうやって始めればいいのか悩ましいもの。そこで、動画マニュアルの基本について以下の記事で詳しくご紹介してみました。よろしければご一読ください。

>>「動画マニュアルとは?メリット・事例・作り方を完全ガイド」

方法2.IoTやAIシステムを活用する

loTの活用により、すべての設備をネットワークでつなぐということも可能です。例えば設備をネットワークでつなぐと生産データがリアルタイムで分かり、他拠点ともデータを共有できます。一拠点に限らず、各地の製造現場で均一した品質を目指すことが可能です。

AIの活用例としては、チャットボットシステムなどがあります。熟練者の知見や回答をデータベースに蓄積しておき、質問に合わせて類似度の高い回答を自動返信する仕組みです。

製造業では、熟練技術者の高齢化や継承者不足、拠点の分散化などが技術や知識を守り伝承する上での課題です。この課題を解決するためにIoTやAIが活躍します。

それでは、実際にデジタルを活用した技能伝承の事例をご紹介します。

技能伝承に成功した芝浦機械株式会社の事例

総合機械メーカーの芝浦機械株式会社が動画マニュアルを導入し、技能伝承を効率化した事例があります。

芝浦機械株式会社では、「若手が上司や先輩の言葉をイメージできない」「一度聞いたことを何度も聞き返せない」といった課題がありました。その結果、作業内容や技能に個人差が出て、品質にバラつきが生じやすくなっていたのです。

動画マニュアルを導入してからは、「どのくらいの力を込めて突き固めしているか」など言葉では表現できないことも、実際の作業映像を見ながら学べるようになりました。

さらに、習得するまで何度も動画マニュアルを見返せるため、職場全体の作業品質のバラつきを少なくすることに成功しています。

このように、デジタルを活用すると効率的な技能伝承を実現できます。技能伝承を自社でも進めていくために、具体的な手順を4ステップで見ていきましょう。

効率的な技能伝承を4ステップで紹介

それでは、効率的な技能伝承とはどのようにおこなえば良いのでしょうか。ここでは4ステップでご紹介します。

  1. ノウハウを言語化する
  2. 熟練技術者のカン・コツを見える化する
  3. マニュアルを作成する
  4. 育成計画を立てる

それぞれのステップを見ていきましょう。

ステップ1:ノウハウを言語化する

まずは熟練技術者が感覚的にやっている考えや判断など、ノウハウに該当する部分を全て書き出しましょう。

熟練技術者は自身の経験から、的確に状況を判断し最適な方法を選択してきました。その結果がノウハウとなっているため、実際の行動や動作に無意識に発揮されています。

「この作業のときは何を考えている、見ているのか」といった質問項目を作成し、熟練技術者本人に考えてもらったり、ヒアリングをおこなったりして言語化に取り組んでみましょう。ただし、そもそも言語化が難しいという場合には次のステップに進みます。

ステップ2:熟練技術者のカン・コツを見える化する

熟練技術者が作業する様子を写真や動画などに残しましょう。写真や動画に残すことで「どのような時にどのような判断で行動したか」といったカン・コツを理解するヒントが得られます。

できれば写真より動画で残すのがおすすめです。写真だとそのときの一場面しか残せませんが、動画なら初めから終わりまで一連の流れを映像として残せます。

動き・音・速さ・パワーなど得られる情報が多いほど、言語化が難しいカン・コツの理解に近付けます。細かい動きもわかるように、さまざまな角度から撮影しましょう。

ステップ3:マニュアルを作成する

続いて、技術・技能を伝承するためのマニュアルを作成します。マニュアルは熟練技術者から若手まで、幅広いメンバーで一緒に作っていくのがおすすめです。経験や知識量の違うメンバーで一緒に作れば、熟練技術者だけが知っている知識や、若手だけが感じている課題などに気付くきっかけになります。

マニュアルを作成する際は、主に以下のような項目を含めます。

  • マニュアルのタイトル名
  • マニュアルの目的・ゴール
  • 作成日付
  • 作業内容や手順

これらを記入していると、何のマニュアルでどのように作業するかすぐに確認できます。

ステップ4:育成計画を立てる

最後に、技能の引き継ぎを受ける若手や社員の育成計画を立てましょう。育成計画を立てることで技能伝承の効果は表れているか、現場全体の習得率はどのくらい進んでいるかなどを確認できます。

育成計画は各社員を「いつまでに」「どのレベルまで」育成するか考えましょう。例えば、「新人にはAとBの技能を学ばせ、入社後3ヶ月目にレベルテストを受けさせる」などが考えられます。

育成計画は技能を伝承する熟練技術者に立ててもらうか、会社であらかじめ育成計画のフォーマットなどを用意しておくと良いでしょう。

技能伝承は動画マニュアルがおすすめ

動画マニュアルは、手軽に導入できる技能伝承としておすすめです。loTやAIシステムを新たに開発するよりも費用がかからず、撮影して編集するだけなのですぐに技能伝承に取り組めます。

動画マニュアルを作るためには動画作成アプリが必要です。動画作成アプリの中でも、前述した芝浦機械株式会社の技能伝承では「Photron-Mobile Video Creator(MVC、フォトロンモバイルビデオクリエイター)」を利用しています。

このアプリを利用すればスマホやタブレット1台で撮影から編集までできます。撮影用にデジタルカメラを用意したりPCに映像を読み込んだりするのが不要のため、動画作成にかかる手間と時間を軽減できます。

Photron-Mobile Video Creator(MVC、フォトロンモバイルビデオクリエイター)では1ヶ月の無料トライアルを実施中ですので、気になる場合は詳細を以下よりご覧ください。

まとめ:動画マニュアルで効率的に技能伝承を

技能伝承の課題・問題点について以下のことを取り上げました。

  • 熟練技術者の高齢化
  • 技能伝承の時間不足
  • 熟練技術者と若手のコミュニケーション不足

これらの課題を解決するために動画マニュアルが有効だといえます。動画マニュアルを活用することによって、技能伝承の課題を解決できる手段になるかもしれません。

ただし、闇雲に導入するのではなく、現場の声を聞きながら導入する必要があります。本記事で紹介した技能伝承のステップを参考に、熟練技術者のカン・コツを「見える化」してみてください。

動画作成アプリ「Photron-Mobile Video Creator(MVC、フォトロンモバイルビデオクリエイター)」の導入を検討して、効率的に技能伝承をしてください。

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