材料試験における赤外線ハイスピードカメラ事例紹介(温度解析・応力分布の可視化)

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目次

材料試験における赤外線ハイスピードカメラ適用例

材料試験において赤外線ハイスピードカメラは、非接触で高速かつ高精度の温度分布計測が可能であるため、様々な現象の可視化や解析に活用されています。
本コラムでは温度解析とロックインサーモグラフィを用いた応力分布・内部欠陥の可視化について記載します。

事例:CFRPの引張試験

試験結果の要点

試験では、スリットの両端部に応力が集中することで温度が上昇する現象を捉えました。
この温度分布は繊維方向に沿って広がる特性を示し、材料表面の温度変化から引っ張り応力による材料内部の歪みを間接的に可視化しました。
特に、破断の瞬間には温度が最も高くなり、裂けた箇所では初期状態から約40℃の上昇が観測されました。

お客様からいただいたコメントを紹介します。
「従来のサーモグラフィでは、破断時の高速現象において一瞬の温度変化を捉えることができないが、このカメラは瞬間的に材料に発生する熱を正確に評価できている。」

当社の冷却式赤外ハイスピードカメラは、圧倒的な感度と1ms以下の時間分解能により、わずかな変形によって発生する微小な温度変化を可視化し、材料特性の評価に新たな知見を提供します。この技術は、CFRPなどの材料開発や品質管理において、より詳細な現象解析に貢献します。

事例:CFRPのシャルピー衝撃試験

シャルピー衝撃試験とは、材料の「靭性(じんせい)」、すなわち衝撃に対する「ねばり強さ」や「もろさ(脆性)」を評価するための試験です。特に、製品が使用される環境で予期せぬ衝撃荷重が加わる可能性のある場合に、その耐久性を評価する上で非常に重要な試験となります。

本試験では、赤外線ハイスピードカメラによる温度解析と、ハイスピードカメラを2台使用したDIC(デジタル画像相関法)によるひずみ解析を行いました。
これらの計測を1回の試験で同時に行うことで、衝撃破壊という高速で複雑な現象における「温度変化」と「ひずみ分布」を関連付けて解析できます。これにより、材料が衝撃エネルギーを吸収し、最終的に破壊するまでのプロセスを多角的に、かつ深く理解することが可能になり、材料開発や品質向上のための貴重な知見が得られます。

ロックインサーモグラフィについて

ロックインサーモグラフィを用いた応力分布解析は、熱弾性効果を利用し、材料にかかる応力を非接触で可視化・定量化する技術です。

材料に周期的な力が加わると、わずかな温度変化(引張で冷却、圧縮で昇温)が生じます。この微小な温度変化を、高感度の冷却式赤外線カメラを使用し、時系列で連続的に計測します。
この取得したデータに「ロックイン処理」を行います。これは、加える力(荷重)の周期に同期した温度変化だけをノイズの中から抽出する処理で、高感度で微小な熱弾性変化を検出します。

メリット:

  • 非接触・非破壊で、広範囲の応力分布を測定できます。
  • 非常に微小な応力変化も高精度に捉えられます。
  • 疲労試験など、動的な応力挙動の評価に特に有効です。

この技術は、材料の応力集中箇所や欠陥の検出、疲労寿命評価、設計検証など、多様な分野で活用されています。

事例:応力分布の可視化

応力分布計測セットアップ例

純アルミ薄板を用いた試験例

純アルミ薄板を用いた試験例(切欠き部応力集中)

事例:内部欠陥の可視化

LITによる欠陥検知

微小温度抽出・熱弾性解析ソフトウェア
ThermowavIR

ThermowavIRは、 FLIR社製冷却式赤外線カメラで撮影した温度画像データに対応するロックイン解析ソフトウェアです。
FLIR社製非冷却サーモグラフィーで撮影した温度画像データにも対応する非冷却ロックインサーモです。

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