ハイスピード3D-DICの活用例:ファンの3D挙動計測

  • 可視化
  • #DIC
  • #ODS

目次

課題

特に近年の自動車の電動化や、風力などの新エネルギーの導入、航空機への軽量化素材の導入などの社会的変化に伴って、それらの様々な製品に組み込まれている回転する部品コンポーネントに対しても、静粛性や強度を担保するニーズが高まっています。そのためにこうした回転体の設計においても、CAEを用いてその挙動や振動解析によるモードの予測は行われ、回転時のノイズや強度の評価が実施されています。一方でその予測結果の検証のために、こうした回転体の実際の試験計測を実施するにあたっては、

  • 従来式の加速度計などの有線のセンサーでは回転体の計測は困難
  • 多点同時計測を行うには、加速度ピックアップやレーザー変位計では、煩雑な配線と膨大な準備工数
  • レーザー変位計やドップラーレーザー振動計などの従来型非接触方式では、剛体運動を伴う回転体の面内変位の測定は困難。装置によっては費用が高額

といった課題がありました。

解決

  • ハイスピードステレオカメラシステムによる3Dポイントトラッキング計測により、回転するファンの羽のたわみ量を可視化・定量化
  • 各周波数帯におけるファンの変形モードを可視化
  • 3D変形計測結果を用いたCAEと現物の合わせこみ

計測条件と計測結果例

使用システムPhotron FASTCAM Mini R5-4K / Stereo DIC
ソフトウェアZEISS Correlate Pro
計測対象クーリングファン(市販サーキュレータ)
測定条件回転速度:1000rpm
解像度:4096×2304画素
撮影速度:1,250fps

変位計測結果

高速度3Dポイントトラッキングにより、ファンの回転時のそれぞれの羽の3次元の変形分布およびベクトルが以下のように得られました。左の動画は実際の撮影動画、右の動画は変位分布とベクトルを3D表示したものです。

ZEISS Correlateソフトウエアでは、画像の中に写っている任意の箇所を動かないものとして変位量を評価することができます。これにより中心軸を動かないものとして回転成分はキャンセルし、羽の変形のみを可視化したものです。

また次の左の動画は実際の撮影動画、右の動画は変位分布を静止状態のファンの画像に重ね合わせたものです。これにより特にどの羽が中心軸に対して相対的に変形しているかを確認することができ、例えば周囲との干渉によるノイズ不具合の原因分析に有用な情報となります。

ZEISS Correlateソフトウエアでは、各計測点の軌跡を求め、これを用いて円や球などの幾何形状を作成することが可能です。次の動画ではある点の軌跡から円を作成し、円中心すなわち回転軸から翼端部までの距離の変化を右のグラフで示しています。こうした機能を用いることで、回転体の軸ブレを検出し、ノイズの要因分析に役立てることが可能です。

計測結果を用いた周波数解析

得られた変位計測結果は変位量・振幅・時間の情報を持っています。ZEISS Correlate Proではこの結果を用いて周波数解析を行い、各周波数帯における変形モードを可視化することが可能です。次の動画の左上のグラフが振幅の時系列データ、左下のグラフは全測定点の周波数応答グラフを示しています。また右の動画は周波数応答グラフ内で指定した点線で示されているピーク周波数である15Hz付近における面外の変形モードを示しています。

全測定点の傾向把握だけでなく、特定の点の評価ももちろん可能です。下の動画では変形モードをワイヤーフレーム表示とし、ピンクの点で示した特定の点の応答グラフを左下に描画したものです。

計測は3次元で行われていますので、3次元的に計測結果を可視化することも可能です。下の動画では変形モードを3D座標系上にマッピングして表示しています。また左下には時間ごとの各周波数における面外変位成分の強度を示すスペクトログラムを表示しています。

従来法に対するZEISS Correlateのメリット

振動や変位を計測する場合、従来は加速度センサーを対象に張り付けて加速度を測定し、この値から変位や振幅を得ていました。これによる問題点は以下の通りです。

加速度ピックアップセンサー

  • 測定点数が多くなると準備工数が膨大:例) 車両全体の計測に準備だけで3~5日
  • センサーや配線の重量が無視できない:1~10g程度
  • 後処理にも多大な手間:1日 / 1試験

これをZEISS Correlateに置き換えることで、劇的な工数削減と測定信頼性向上に貢献しました。

ZEISS Correlate

≫準備時間:30分
≫測定ポイントシール:約0.1g / 配線不要
≫結果出力:リアルタイム~数分

お問い合わせはこちら


フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。


恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。


記事をシェア

ハイスピードカメラの選定・販売・レンタルから
撮影・解析までお任せください

お問い合わせは
こちらから

専門知識を持った担当者が
お客様の課題や要件をお伺いします

無償デモ撮影・解析
の申し込み

ハイスピードカメラの動作や
必要性を事前に検証できます

製品価格入り資料を
ダウンロード

製品のカタログや活用事例集を
無料でダウンロードできます

電話でお問い合わせ

平日9:00~18:00

03-3518-6271