赤外線ハイスピードカメラによる切削の温度解析事例
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切削点の非接触温度解析:難削材加工の課題解決へ
日本のものづくりを支える高度な技術の一つに「金属加工」があります。特に、航空宇宙や原子力産業で用いられる産業用タービンや各種エンジンの部品には、過酷な使用環境に耐えうる超耐熱合金が使用されています。
これらの合金は、耐熱性や耐腐食性といった高温特性に優れる一方で、熱伝導率が低いという特性を持っています。このため、加工中に局所的な切削熱が発生しやすく、工具刃先に熱が集中して摩耗しやすいという「難削材」としての側面も持ち合わせています。さらに、このような超耐熱合金の加工には、同様の特性を持つ特殊な刃物や加工チップが使用されます。
切削加工における長年の課題
このような金属加工において、加工条件の最適化は長年の課題でした。切削熱が局所的に集中すると、切削工具材料との化学反応や凝着物の付着が発生し、切れ刃の摩耗やチッピングによる工具寿命の低下、さらには加工面の品質低下に直結します。したがって、加工条件の設定においては、熱がこもらないような工夫が不可欠です。しかし、切削点の温度を直接的に測定することは極めて困難であり、回転数と切削点温度の関係を定量的に評価することは、これまで不可能に近い状況でした。
冷却式赤外線カメラが切り拓く新たな解析手法
このような背景を受け、現在、切削工具メーカーでは「冷却式赤外線カメラを用いた切削点の非接触・高速温度解析」という画期的な試みが進められています。そして、その中核技術として、弊社の製品が貢献しています。この非接触温度解析技術により、これまで見えなかった切削点の熱挙動を正確に把握し、難削材加工の課題解決、工具寿命の飛躍的な向上、そして加工品質の安定化に貢献することが期待されています。
切削点・切粉の温度解析
高精度・赤外線ハイスピードカメラによる切削点温度解析
本計測には、中赤外線カメラX6901scを使用しています。このカメラは、加工チップ一つ程度の極めて狭い領域を対象とし、赤外線を透過する特殊な窓材越しに、超耐熱合金の放射率を考慮した正確な温度値を出力・記録します。
1秒間に5,000フレームという高速撮影に加え、露光時間に相当する積分時間はさらに短いため、切削点のような高速で動く対象でもブレの少ない明瞭な温度画像が得られます。
このような高精度かつ高速な温度計測技術は、切削加工だけでなく、金属溶接における溶融池温度の可視化など、様々なプロセス観察にも応用されています。
この計測結果により、これまで経験や勘に頼りがちで、定量的な検討が不可能に近かった加工条件の最適化が、より科学的な視点から可能となりました。これにより、属人性の排除と、より高品質なものづくりへの貢献が期待されます。
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