テニスボールのスピン量を増やすには?ハイスピードカメラで辿り着いた理想のグロメットの形状
- FASTCAM
- #FASTCAMシリーズ
- #お客様の声
ミズノ株式会社 グローバルイクイップメントプロダクト部 ラケット企画開発課 様
電話でお問い合わせ
ハイスピードカメラ FASTCAM シリーズをご活用頂いている、ミズノ株式会社 グローバルイクイップメントプロダクト部 ラケット企画開発課様にインタビューした「テニスボールのスピン量を増やすには?ハイスピードカメラで辿り着いた理想のグロメットの形状」をご紹介します。
ミズノ株式会社のグローバルイクイップメントプロダクト部 ラケット企画開発課、山下洋平様、橋本直暉様はテニスラケットをはじめとしたラケットスポーツ用品の開発をされています。今回はテニスラケットのパーツの中でもグロメットの開発についてお話を伺いました。
より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会へ貢献
はじめに、ミズノ株式会社は1906年の創業以来、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会へ貢献する」を経営理念に、スポーツ用品の製造及び販売、施設の各種スクール事業を展開し、日常生活にもその活用を積極的に広め、スポーツの力で世界中の人々を幸せにすることに貢献しています。そのほかにも、野球のヘルメットで培った開発技術を建築現場のヘルメットに応用する研究を進めたり、ランニングシューズなどの知見を活かし、工場の現場で働く方が重い物を落とした時に足を保護する頑丈なワークシューズを開発したりと、スポーツ用品の開発のノウハウが活かせる製品作りにもチャレンジしています。
テニスボールのスピン量を増やすには?仮説→実験の繰り返し
テニスラケットには強い張力でストリング(ガット)を張ります。その際、グロメットはラケット本体とストリング双方を守る役割をしています。グロメットがないと本体に局所的に大きな力がかかり、フレームの破損につながります。また、ストリングと本体が直接触れると、ストリングが擦れてしまい、ストリングの破断にも繋がります。そのほか、グロメットのもう一つの役割として、形状を工夫することで、ボールが当たったときのストリングの挙動をコントロールしています。
最初はテニスボールのスピン量を増やすにはどうしたら良いのか?というところから始まり、ボールをぶつけて、スピン量がどれくらいかかるのかという反発実験をたくさん行い、ハイスピードカメラを使って可視化しました。色々なラケットを使い、色々な穴の形を作って実験しました。たくさんの実験を経て、ストリングが大きく動くほどスピン量が増えるということが分かってきました。
その結果を経てどうやってストリングを大きく動かすかについてアイデアを出し合いました。その中の一つが、グロメットの形状をXにしてみるということだったのです。
ハイスピードカメラはグロメット付近をアップで撮影し、ストリングの挙動を観察するのに使用していますが、今回、グロメットとストリングの動きをこれほど鮮明に撮影できたことに感動しました。ハイスピードカメラの技術開発の進歩の素晴らしさを実感しています。20年以上前に導入したカメラでは、撮影できる画角も狭く、かつ照明もかなり当てないとこんなには綺麗に撮れませんでした。それが新しく導入したカメラでは、手軽に簡単な操作で高品質な撮影を行うことができるようになっています。
他部署と相談しもう1台導入、2台同期で3次元的な撮影が可能に
もともと19年以上前にフォトロンのハイスピードカメラを導入し、6年前、2年前にもまたフォトロンのカメラを導入したという経緯がありました。フォトロンのカメラの導入においては、テニスラケットを研究開発している我々のチームだけで決めた訳ではありません。弊社には、他のスポーツ用具製品の研究チームがあり、ハイスピードカメラも他部署と共用で使っていて、カメラがもう一台あれば便利に使えると皆で話し合って、どのスペックにするのがいいかを協議して決めました。
新しいカメラは先に導入済みのカメラと簡単に同期撮影ができるので、例えばテニスのスイングを撮影する際に、3次元的に撮影することができます。ハード面はサイズも軽量なので、持ち運びにも便利です。ソフト面は特にハイスピードカメラの制御ソフトは、複数の動画を再生して、見比べることができる機能などもあり、条件の違いでどのような違いがあるのか分かるので便利です。
また、アフターサービスも、機器のトラブルの際に迅速にご対応いただけますし、ハード、ソフトだけでなく、周辺機器(PC、ケーブル、照明、レンズ)の相談もできるサポートの手厚さもあります。このようにハードやソフトも簡単に操作できますし、元々使い慣れていたということもあり、他社のカメラと比較することもなく、フォトロンのカメラにすると当初から決めていました。
ハイスピードカメラが捉えた、最適なグロメットの形状とは?
こちらは従来型の丸い形状のグロメットですが、ボールにぶつかるとすぐにストリングは動きますが、ストリングがグロメットの壁にぶつかってしまって、動きが小さくなってしまいます。

ストリングはすぐにグロメットの壁に当たってしまい可動域が狭い。

ストリングの動きを邪魔しないような設計で可動域が広くなっている。
ボールが当たってストリングが動くという一瞬の撮影はフォトロンのハイスピードカメラでないとできないことです。グロメットがXの形状がいいと解ったのは、ハイスピードカメラが瞬間の動きを鮮明に捉えてくれたからです。
そのほか、マルチキャノンで高速発射したボールをラケットに当て、その速度(反発係数)やスピン量を比較する衝突実験も行っています。衝突実験を横から撮影して、グロメットの形状違いで衝突後のボールのスピン量を比較しています。
実際に、グロメットの動きをこれだけ拡大して見ることができたことで、ストリングに最大の力を発揮させ、ボールを狙い通りに回転させることができたのです。フォトロンのカメラがなかったら、仮説を立てても可視化する手立てがないので、仮説を証明できず、今回の製品開発はできなかったでしょう。
テニスはコートの狙ったところにボールを落とすスポーツなので、ボールのスピン量を増やすことが重要になってきます。そういった意味で、ストリングの可動域を最大限に活かせるグロメットは非常に重要になります。
ミズノのテニスラケットの市場拡大に、グロメットの開発が役立つことを確信して
「ミズノのテニスラケットを有名アスリート、トッププロに使ってもらいたい!」そんな熱い思いで、ラケットを進化させています。今回、グロメットをXの形状にしたもので特許が取れ、手応えを感じています。今回の研究を通して完成した「ACROSTRIKE」は、ラケットの性能としては相当グレードアップでき、渾身の出来映えとなりました。
グロメットやフレームを変えることでボールが当たっている時間が変化するのか?実際に人のスイングでラケットを変えたらスイングはどう変化するのか?など可視化したいシーンはたくさんあります。今後はハイスピードカメラや動作解析システムなど様々な計測機器と組み合わせて分析し、どんどん改良のヒントを見出し、より素晴らしい製品づくりに活かしていきたいと思っています。
インタビュー:
山下 洋平 様、橋本 直暉 様
ミズノ株式会社 グローバルイクイップメントプロダクト部
ラケット企画開発課
山下 洋平 様
橋本 直暉 様

※ この記事は2025年4月取材時の情報です
撮影事例動画
[画像提供]ミズノ株式会社 グローバルイクイップメントプロダクト部 ラケット企画開発課 様
テニスボールが当たった際の丸型グロメットの動き
テニスボールが当たった際のX型グロメットの動き
テニスボールの反発実験
ハイスピードカメラの選定・販売・レンタルから
撮影・解析までお任せください
お問い合わせは
こちらから
専門知識を持った担当者が
お客様の課題や要件をお伺いします
無償デモ撮影・解析
の申し込み
ハイスピードカメラの動作や
必要性を事前に検証できます
製品価格入り資料を
ダウンロード
製品のカタログや活用事例集を
無料でダウンロードできます
電話でお問い合わせ
平日9:00~18:00