Haivisionの新プロトコル「SST」とは?その特長・仕組み・活用事例を徹底解説

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映像配信やIP映像伝送の分野において近年注目を集めているHaivisionの新プロトコル「SST」をご存じでしょうか?
この記事では、映像伝送プロトコル「SST」とはどのようなものなのか、その特長と映像伝送における「SST」の活用方法までを詳しくご紹介します。

 「SST」とは

SSTとSRTの違い

SSTは無線ネットワーク接続を前提としたストリーミング向けに開発されたプロトコルです。フランスのAviwestによって開発され、その後AviwestがHaivisionに買収されたことによって現在はHaivisionプロダクトでもSSTが利用できるようになっています。

Haivisionといえば、現在多くのストリーミングシーンで活用されている「SRT(Secure Reliable Transport)」の開発元として知られています。

SRTとSSTの大きな違いは、先述したようにSSTが無線ネットワークの利用を前提としているのに対して、SRTは有線ネットワークを前提として設計されている点にあります。

SRTの特長

SRTは有線のIPネットワーク接続を前提としてRTMPの後継となる伝送手段として開発されました。高信頼かつ低遅延の伝送を実現する技術として現在では多くの放送や配信の現場で活用され、従来の専用回線や衛星回線の代替手段として注目を集めています。

SRTの特長としては下記の3点があげられます。

  1. パケットロスをリカバリする仕組みによる高信頼性
  2. 高いセキュリティ機能
  3. オープンソースのプロトコル

1.パケットロスをリカバリする仕組みによる高信頼性

「ARQ(Automatic Repeat reQust)」と呼ばれるパケットロスをリカバリするための機能により高い信頼性のある伝送を実現します。いわゆるパブリックインターネットとよばれる、一般的なインターネット回線を利用する際に発生しやすいパケットロスや、ネットワークジッタなどにより受信端末まで届かなかったパケットを再送させることで、安定的な映像伝送を実現する仕組みです。

2.高いセキュリティ機能

AES128/256bit といった高いレベルでの暗号化の仕組みにより、エンコーダとデコーダで共通したパスフレーズを入力し、それらが一致しないかぎり映像信号として復元できないという機能を実装しています。これにより、パブリックインターネットを利用した伝送においても高いセキュリティレベルでの伝送環境を確保することができ、映像コンテンツを保護する、といった観点からも十分に安心と信頼できるセキュリティ機能になっています。「SRT」のIPストリーム自体が暗号化されているため、そのストリームを利用するネットワークがどんなものでもそのセキュリティを確保でき、利用するネットワークに依存しないことも特長です。

3.オープンソースのプロトコル

Haivisionの製品にとどまらず多くのテクノロジーベンダーにおいてもSRTの採用が進んでいて、SRTに関するコミュニティである「SRT Alliance」の加入企業は2025年現在において600社を超えています。そのため現在では多くのベンダーの製品を組み合わせることによって、幅広くSRTを活用したワークフローの構築が可能となっています。

SSTの特長

一方で、SST(Stream Sync Transmission)は無線のネットワーク接続を前提として、下記の3点が特長としてあげられます。

  1. 独自のIPネットワークボンディング技術
  2. 安定的にコンテンツ伝送するための仕組み
  3. ビデオ+制御信号の伝送

1.独自のIPネットワークボンディング技術

3G/4G/5Gといったモバイル回線を利用した無線通信だけでなく、Wi-Fiや衛星回線、有線ネットワーク接続など複数のネットワーク接続をリアルタイムに集約し一つの通信方式として束ねての利用が可能です。これは、有線ネットワーク接続を前提とするSRTと最も対照的な点と言えます。

2.安定的にコンテンツ伝送するための仕組み

帯域幅の変動に合わせてビデオビットレートを動的に調整するという点も特長の一つです。
またSSTでもコンテンツの暗号化や、失われたビデオデータの再送信機能も備えています。従ってSRTと同じようにコンテンツの伝送を安定的に実現するための仕組みを実装したプロトコルと言えます。

3.ビデオ+制御信号の伝送

映像信号に加えて、音声やメタデータ、そして独自の「DataBridge」という技術を介してPTZカメラなどのデバイスをリモートコントロールすることもできるなど、リモートプロダクションを実現するために効果的な特長を多く持っています。

このようにSRTとSSTは前提とするネットワーク環境が異なるものの、それぞれの特長を正しく理解することでIPを活用した効果的なプロダクションワークフローの実現が可能です。

「SST」はどうすれば活用できる?

SSTの特長を活用するための方法を、対応する製品を交えながらご紹介します。

送信端末

モバイルトランスミッター Haivision Proシリーズ

SSTに対応した送信端末としてHaivisionがラインナップしている製品群になります。
モバイル通信、LAN、Wi-Fi、衛星など複数の通信方式を独自のネットワークボンディング技術によって一つの回線として束ねて利用できる端末です。

受信端末

マルチIPデコーダ/トランスミッター Havision StreamHub

Haivision Proシリーズの受信機となる製品です。
オンプレミスのサーバだけではなく、クラウド/VMという形でも利用可能です。

また、StreamHubは受信機としての役割だけではなくIPのゲートウェイとしても活用することができます。SST、SRTを含む複数のIPプロトコルの入出力に対応しているため、この製品単体でもIPワークフローの中枢を担うことのできる製品の一つです。



Pro-StreamHubで利用できる特長的機能

ここでは特長的機能を5つ、ご紹介します。

  1.  StreamHubからPro端末をリモート制御
  2. インカム & ビデオリターン
  3. マルチビュー
  4. PTZカメラのリモート制御
  5. その他

1.StreamHubからPro端末をリモート制御

StreamHubのGUIからは入出力されるすべてのストリームを、サムネイルでモニタリングすることが可能です。

また、StreamHubのGUIからHaivision Proの端末をリモートで制御することも可能です。

2.インカム & ビデオリターン

SSTを利用してStreamHubからHaivision Proシリーズを経由して、現地のカメラマンや制作チームに対してリターンの映像を送ることができます。
また、同様にPro-StreamHub間でインカムを利用することも可能です。

3.マルチビュー

最大4×4の16画面でマルチビューを生成、SDI/IPストリームで出力が可能です。

4. PTZカメラのリモート制御

SSTを利用して遠隔地にあるPTZカメラのリモート制御を実現できます。

これまで専用のネットワーク環境の構築が必要だったところを、SSTを利用することで映像信号の伝送に加えて制御信号も伝送可能です。これにより、ネットワーク環境を整備する手間を大きく軽減することができます。

5.その他 Mojopro:アプリの活用

Mojoproというアプリを利用することで、スマートフォンやタブレット端末からSSTストリームを送信可能です。カメラソースの一つとして手軽に追加することができるので、出先から急遽伝送が必要になった際などに効果的なソリューションです。

【系統図例】

最後に

このようにSSTとSRTという二つのプロトコルにはそれぞれ独自の特長があり、それらを正しく理解することで様々なリモートプロダクションやIPワークフローの構築が可能となることがお分かりいただけたでしょうか。

フォトロンではご紹介した製品のデモや検証、レンタルなども行っています。
もしより詳細な情報を知りたいという方や、実際にお手に取ってその品質を確かめてみたいという方はぜひお気軽に下記よりお問い合わせください。



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また、Haivision製品に限らずクラウドやIPを活用するために様々なお手伝いをしていますので、何かお困りのことや実現したいことなどございましたらお気軽にご相談ください。


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