低遅延映像伝送の実現方法とは?ストリーミング配信における低遅延映像伝送の重要性

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近年、各種動画配信サービスの普及/拡大により、映像コンテンツの視聴方法は「リビングでテレビの前に座って観る」から「いつでもどこでも場所を選ばず観られる」に変化してきました。

家に居なくとも、通勤中などに手元のスマートフォンやタブレットでその時観たい番組や映像を即座に観れる、ということが当たり前になってきたのです。

さらに、4K/8Kなど映像技術の進化に伴い、身近な視聴環境がより豊かなものへと変わってきており、高帯域の映像を利用した様々な演出が多くの場面で利用されています。このような変化に伴って「ストリーミング配信」という方法が、動画を再生する手段として主流になりつつあります。

この記事では、ストリーミング配信における低遅延映像伝送の重要性と、低遅延映像伝送を実現する方法を具体的に解説します。

なぜストリーミング配信で低遅延映像伝送が重要なのか?

これまでの映像視聴方法は、CDやDVDなどの記録メディアに保存されている映像データや、ダウンロードしてファイルを再生する方法が一般的でした。
近年、インターネット環境の整備が進んだことで、データをダウンロードしてから視聴するのではなく、映像を再生すると同時に受信する「ストリーミング」という方式が普及してきました。

ストリーミング配信の方式

ストリーミング配信には、「オンデマンド配信」「ライブ配信」の2つの方式があります。

オンデマンド配信

オンデマンド型のストリーミング配信は、事前にサーバーにアップロードしたファイルをユーザーが視聴する方式です。現在の各種動画配信プラットフォームでも多く活用されている方式のため、既に利用している方も多いのではないでしょうか。

ライブ配信

ライブ型のストリーミング配信は、その名の通りテレビの生放送のようにリアルタイムにコンテンツを配信する方式です。ライブ型ストリーミングの場合には、リアルタイムならではのライブ感を楽しむことができる一方で、映像の伝送状況もリアルタイムに反映されてしまうリスクもあります。
アーティストのライブやスポーツ中継などの映像コンテンツを配信するにあたって、低遅延に映像伝送を実現することは必要不可欠といえます。

ストリーミング配信における低遅延映像伝送の重要性

ストリーミング配信は、リアルタイムに近い形で映像を視聴することができる一方で、通信環境などの影響を受けて正常に映像が受信できなかったり、リアルタイムと同じような低遅延での映像視聴が難しいといった課題があります。

スポーツやエンターテイメントなどのコンテンツが持つ魅力や熱量を、視聴者や配信先(放送局のサブやスタジオなど)に共有するためには、高画質で低遅延な映像伝送が非常に重要な要素となります。遅延量やパケットロスが少なければ少ないほど、より豊かな視聴体験を提供することができるのです。

低遅延映像伝送を実現するための方法は?

前述のとおり、ストリーミング配信において低遅延で映像を伝送することは非常に重要な要素です。では、低遅延映像伝送を実現するには、どのような方法があるのでしょうか?

低遅延で映像伝送をおこなえるシステムを構築するには、いくつかの方法があります。最も安定性が高いと言えるのは、広帯域の専用回線を利用した映像伝送です。しかし、専用回線はその安定性と引き換えにコストは決して小さいものではありません。

コストパフォーマンスを重視するのであれば、パブリックなインターネット回線を利用して映像伝送システムを構築するという方法もあります。様々なIPプロトコルの登場により、パブリックなインターネット回線を利用しても、安定した低遅延の映像伝送を実現することができるようになってきているのです。

安定した低遅延映像伝送を実現できる代表的なIPプロトコルとしては、「RTMP」や「SRT」などが挙げられます。
特に「SRT」はオープンソースであることから多くのベンダーで採用されています。また、UDPをベースとするIPプロトコルのため、パブリックなインターネット回線を利用しても1秒未満の遅延量で映像伝送をおこなうことが可能です。
従来の「RTMP」が30秒未満程度の遅延量であることを考えると、驚異的な低遅延であることがお分かりいただけるのではないでしょうか。

驚異の低遅延映像伝送プロトコル「SRT」とは?

ここでは、IPプロトコル「SRT」を利用することで、なぜ低遅延映像伝送を実現できるのか?という点を詳しく見ていきましょう。

「SRT」は、パケットロスやネットワークのジッタが発生することを前提とした仕様で設計されたIPプロトコルです。代表的なものとして、ARQ(Automatic Repeat reQust) というパケットロスをリカバリするための機能が実装されています。
これは、通常のインターネット回線を利用した際に発生しやすいパケットロスやネットワークジッタに直面した際に効果を発揮します。受信端末まで届かなかったパケットだけを再送信し、それを受信することでパケロスをリカバリし、安定的なデータ出力を確保することができるのです。
このARQ機能により、専用回線を利用せずに、通常であればパケットロスが発生しやすい汎用的なインターネット回線を利用しても安定的で低遅延な映像伝送システムを構築できます。

また、「SRT」のストリームは、AES128 / 256bit といった高いレベルでの暗号化、データスクランブルの一種になっており、エンコーダとデコーダで一致するパスフレーズを入力しない限り、映像信号として復元できない機能を持っています。
コンテンツの保護といった観点からも、十分に安心と信頼できるセキュリティ機能を備えており、加えて、利用するネットワークに依存しないという特長も持っています。たとえば、「1Gbps ベストエフォート」といわれるような家庭でも利用されているインターネット回線を利用した場合でも、「SRT」を活用することで安定した低遅延映像伝送を実現できます。

■関連記事:映像伝送プロトコル「SRT」とは?その特長と活用方法を解説

「SRT」を活用して低遅延映像伝送をおこなうには?

「SRT」を活用することで高品質、かつ低遅延な映像伝送システムを構築できることは分りましたが、では、具体的にはどのような方法があるのでしょうか?

「SRT」対応エンコーダやデコーダ、または「SRT」対応のソフトウェアベースのアプリケーションなどを利用して、低遅延映像伝送を実現することができます。
「SRT」対応デバイスのなかには、4K映像や30Mbpsなどの高帯域の映像信号もサポートするエンコーダやデコーダも登場しています。パブリックなインターネット回線を利用しても、組み合わせるデバイスによってはクオリティの高い低遅延な映像伝送システムを構築することができるのです。

ただし、そういったデバイスを用意することができても、インターネット回線を利用した映像伝送に不安があったり、接続するための設定が難しそうでなかなか挑戦しにくい、といったお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

このような不安を解決するために、フォトロンでは「SRT」を活用するための様々なソリューションをご提供しています。

スポーツ・ライブプロダクションのサービスをワンストップでご提供

フォトロン スポーツビジネス推進部ではクラウドを活用した、制作・配信・収録/アーカイブ・分岐 の運用から、各フローで活用するプロダクションサービス・システムの構築・提案までを行っております。「SRT」などを活用し、映像伝送からプロダクションまでの一連のワークフローをご要望に応じてご提案いたします。

ぜひお気軽にお問い合わせください。

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