局内LAN活用で工数、人的ミスを削減し履歴も管理 ユーザーからの評価も高く局内のDX推進にも貢献
- HARBOR
- #ファイルベース
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沖縄テレビ放送株式会社 様
沖縄県全域を放送エリアとし、地域に根差した情報発信を続ける沖縄テレビ(以下、OTV)。南国特有の温暖な気候の中、日々県民に最新の情報を届けている同局は、CMの自社制作現場ではデータ搬入に伴う様々な課題に直面していた。
フォトロンが提供する映像制作支援プラットフォーム『HARBOR』を導入していた同局が、データ搬入の課題を解決するため『LAN HARBOR』を採用、その結果、ワークフロー改善による運用の効率化が実現した。
OTVが推進するDX化にも寄与した『LAN HARBOR』の導入経緯、成果について、沖縄テレビ放送株式会社 技術管理局放送運行部 上原かおり氏、宮城 司氏からお話を伺った。
ポイント
- 導入前に3カ月間トライアルを実施、現場の声も聞いたうえで正式導入
- 工程のボトルネック解消と合わせ、メール通知による搬入履歴管理で問い合わせ対応も削減
- 同局が推進するDX化の事例となり、さらに他局への横展開の可能性も示唆
物理的な運搬に伴う人的起因の工数ロスに苦慮
OTVではCMデータが月に900本新規搬入され、そのうち約100本が自社制作となっている。自社制作分搬入時のデータ取込とそれに付帯する工数を現場では課題として捉えていたため、その削減方法について関係者間で検討していたという。
自社制作CMワークフローのボトルネックとしては、CMの完パケデータをXDCAM化したうえで物理的に運ぶ工数(スニーカーネットワーク)と合わせ、XDCAMのケースへのラベル貼り作業が挙げられる。
ラベル貼り作業は、人的起因の多くのミスにつながっていた。具体的には、管理のために記入する10桁コードの転記ミスや、転記したコードの見間違いが発生、その確認作業や手戻りも多かったため、結果として大幅な時間のロスとなっていたのだ。
またXDCAM起因のトラブルもあった。具体的にはファイリング時にメタデータの不具合などによる読込エラーや、XDCAM自体が物理的に足りなくなるといったことが定期的に発生、その点でも制作現場の負荷増につながっていたという。
そのため根本的にXDCAMを使わない、ファイルベースでのワークフロー構築ができないかとの考えに至った。そこで当初はNASに直接接続しデータをアップロードできないか検討したが、同局内のセキュリティの壁に阻まれ見送りとなっていた。
実績のある『HARBOR』を活用したCMデータ搬入をトライアル

OTVでは、在京キー局の番組販売オンライン搬入サーバとしてフォトロンの『HARBOR』を運用している。ファイルベースによる自社制作CMデータのアップロードを検討する中で、『HARBOR』のサービスに含まれる自動受信やウイルスチェック、メール通知といった機能を利用できないかと考え同局からフォトロンに打診、そして『LAN HARBOR』として3カ月間のトライアルを行うこととなった。
『LAN HARBOR』の特長は、データ転送経路の分離である。データ搬入時『HARBOR BOX』を介してアップロードを行い、認証のみ本土にある『HARBOR』のデータセンターで実施される。一方、実データはデータセンターのサーバを介さず、OTV局内のLAN回線を通じて『HARBOR』受信用端末へウイルスチェックのうえ直接受け渡しを行うフローとなっている。そのため、認証は物理的な距離も加味して若干のタイムラグがあるものの、実データの移動は局内で完結しているため、アップロード開始から搬入完了まで2分程度とさほど時間がかからないのが特色である。
3カ月間のトライアルは機能検証とあわせ、現場のユーザーがメリットを感じられるかを見極めるためにも行ったという。実際に作業する現場のユーザーが楽になったと感じなければ導入する意味がないと考えたためだ。
その結果、現場における『LAN HARBOR』の反応は上々だった。スニーカーネットワークがなくなることで現場の“バタバタ感”解消につながったのだ。OTVにおける、セキュアな環境を維持したまま、XDCAMを介さないファイルベースでの運用の道筋が、『LAN HARBOR』導入により見えてきたのである。



自社でツールも作成、ファイルベース化で人的起因の工数ロスを解消

OTV局内では『LAN HARBOR』導入と合わせ、上原氏によってメタデータ作成ツールが自社制作され、運用を開始してLAN HARBOR過程において10桁コードなどの必要なデータを入力して出力ボタンを押すだけで、オンラインCM入基準に則ったメタデータファイルとハッシュ値の自動生成を同時にHARBOR送信端末側のNASへCMデータを転送するツールである。
またOTV局内では『HARBOR』受信用端末へ搬入されたCMデータを自動でダウンロードし、局内のNASを介して番組・CM素材サーバへ自動転送するワークフローも合わせて構築している。
運用開始後、制作スタッフがHARBORへのアップロード作業をミスなく容易に実施できるようになり、搬入作業の負担軽減もされたため導入後の効果は想定していた以上であり、「『これ以上何ができるんだろう』と思うほど、現状はベストに近い運用ができています。」という評価の声も関係者から聞こえてきているという。
現場においては、それまで大きな負担となっていた前述のラベル貼りや搬入のための移動といったボトルネック工程自体が消滅。そのため本来の業務である制作や確認に時間を割けるようになり、“精神的な余裕”が生まれたことが大きな改善点として挙げられる。また、HARBORのメール通知機能により、『いつ搬入されたか』が履歴として残るため、搬入についての問い合わせ対応の解消も現場の負担減につながっている。
『LAN HARBOR』導入が地方局のDX推進に貢献
OTV局内では現在、DX推進への取り組みを進めているという。
そんな中、『LAN HARBOR』導入に伴う自社制作CMのファイルベース化は、人手を極力排した一気通貫で工数ロスを削減するだけでなく、ワークフロー自体も大幅な改善となり、日々の運用のDX化につながる結果となった。
これまで物理ディスクへの信頼感が強かった同局内でも、今回の成功が『オンライン化・ファイル化は便利で安全だ』という認識共有のきっかけとなった。そのため、言葉だけが一人歩きしているDXの具体的な事例を局内へ示すことができたと、関係者は声を揃えている。さらに、地方局はどこもリソース問題を抱えているため、横展開の可能性があるのではないか、とOTV関係者の間では話題になっているという。
XDCAMの生産終了がアナウンスされ、放送業界全体でファイルベースへの移行は待ったなしの課題である。OTVでは今回の自社制作CMでの成功を足掛かりに、今後は番組素材やアーカイブ素材についても、ファイルベース化の検討を進めていく方針だ。特にアーカイブに関しては、現状はXDCAM保存であるため、ここをいかにファイルベース化していくかが同局の次なる挑戦となる。
取材の最後に同局はフォトロンに対し、こう期待を寄せた。
「私たちは技術のプロですが、最新のITトレンドすべてに精通しているわけではありません。AI活用やさらなるDX推進に向け、多方面からの提案を期待しています。」
(取材:2025年12月)
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