導入事例新海誠監督作品「天気の子」の クオリティを支えた 映像素材の高速データ転送システム「HARBOR」導入事例

株式会社 コミックス・ウェーブ・フィルム 制作 システム管理者 都川 眞栄 氏
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お客様の声 / 運用事例

2020.05.13

新海誠監督作品やPeeping Life(ピーピング・ライフ)など、作家性の強い映像作品を世に送り出しているコミックス・ウェーブ・フィルム(以下CWF)。2016年に公開した新海監督の「君の名は。」の最終興行収入は、約250億円の記録的な大ヒット作品となった。あれから3年、多くの人が心待ちにした新作が「天気の子」。7月19日の映画公開から75日間で動員が1,000万人を突破し、2作連続の大ヒットとなった。
その制作現場では、今回、新しい仕組みを使ってデータの転送を行った。従来、映像データはHDDをバイク便や持ち込み、郵送などによって物理的に輸送していたが、今回は10Gbpsの高速転送を実現するサービス〈HARBOR〉で「天気の子」の本編データを納品。その導入の理由と有用性について感想を聞いた。

HDDを運ぶ時間を削って クオリティを追求する

『〈HARBOR〉があったことで作品のクオリティアップに割ける時間をぎりぎりまで確保することができました』
制作部門のシステム管理者として「天気の子」のデジタル環境の整備を一手に引き受けた都川眞栄氏。前職は、PCサポートの会社でキッティング等の業務に従事。そこで蓄積した知識を活かし、2018年3月に入社した。そのころすでに「天気の子」の制作プロジェクトは動きだしており、公開の約1年半前でスタッフは60名ほど。間もなく作画打ち合わせが始まるという段階にあった。
『スケジュールは決まっていましたが、目の前にある作業をこなすことに誰もが精いっぱいという状況でした。制作はどんどん進み、データ納品の締め切りを強く意識し出したころ、IMAGICA Lab.から納品に〈HARBOR〉を使ってはどうかという話をいただきました』
〈HARBOR〉のサービスについては、以前から知っていたという都川氏。しかし、従来の納品スタイルは、社内のサーバーから手元のパソコンに納品データをコピーし、それをUSBで接続したHDDに書き出してバイク便や持ち込みで東宝スタジオに送るというもの。
『以前のやり方だとデータをコピーする時間と運ぶ時間、それにデータを移し替える時間がどうしても必要ですが、〈HARBOR〉なら弊社でデータをコピーする時間と先方でデータをコピーする時間のみで、アップロードした次の瞬間には先方のボックスに届いています。“納品にかかる時間が大幅に削れそう”と上司に相談し、「クオリティアップのために時間を作れるなら〈HARBOR〉を導入しよう」と承諾を得ました』
東宝スタジオやIMAGICA Lab.は、6年前より〈HARBOR〉を活用しており、今回、CWFが導入することで、とてもスムーズな納品が可能になった。

早急な開通依頼にもスピーディに導入を実現

『今回、一刻も早く運用を開始するために、社内回線の優先的な使用について前もって上司の了解を得ておきました。さらにフォトロンとの打ち合わせには、以前から協力をいただいていたシステム会社など2社も同席し、即答即断で臨みました』
スピーディに使用を開始したいとのリクエストを受け、CWF内のネットワークなどについては、担当の専門会社が翌日から切り替え作業を開始して2日間で導入準備が完了した。
『事情を汲んでいただき、最短での開通には感謝しています。また開通のために乗り越えるべきハードルは、ご提案いただいたソリューションにより解決。映像データを転送するためのアップロード画面も使いやすいつくりでした』
過去の〈HARBOR〉開通の実績では、諸条件が整っていたことにより2週間で開通したこともあった。CWFの場合も、使われていたFTP回線を移譲いただき、これまでにない異例の速さで開通を可能にした。

運用時に発生するトラブルも 実績とサポート力で解決

納品データを東宝スタジオに輸送するため、10台のHDDを用意。さらに緊急用としてSSDに換装したものまで準備した。しかし「天気の子」では、これらのHDDはあまり使われることなく、すべての本編データ納品を〈HARBOR〉で完了した。
『USB接続でHDDに送られるデータの倍の転送速度で、座っていても納品が完了していくわけですから、思わず笑みがこぼれました。他のスタッフも、その転送スピードに驚いていました。ただ、導入直後は転送速度などの能力を100%活用できず、原因を究明すべく、フォトロンにサポートしていただきました』
最も多いときの社内スタッフ数は130人にもなり、社内のマシンはフル稼働し、制作されるデータがネットワークを通じてストレージやサーバーを行き来する。
『システム関連の会社は様々なトラブルシューティングの経験と実績を蓄積していますから、対応が早く確かです。先々の計画についても、システム管理者と協力先のシステム会社などが相談しながら進めることが重要だと思います』
CWFには、撮影サーバーと〈HARBOR〉のクライアント用PCがあり、撮影サーバーに蓄積される納品データは、自動的に〈HARBOR〉のクライアント用PCにコピーされる。納品するデータを1台のクライアント用PCだけで管理することで、転送スピードが上がり重複転送も防止。カット毎のテイクの管理も容易で、クオリティアップのための制作時間確保に貢献した。

天気の子ワークフローイメージ

ワークフローイメージ

〈HARBOR〉でリスク回避 システム管理者として制作を支援

新海監督の表現のこだわりは、例えば “顔の輪郭線を徐々に太く”というような、わずか数秒のシーンでほとんどの鑑賞者が気づかないようなところにまで及ぶ。CWFで制作された1枚1枚の絵には、そうした熱意がたくさん詰まっている。
『一度納品したデータでも、カットをつないで見た新海監督から、修正の依頼が入る場合があります。例えばA100_H04のカットに修正の指示が入ると、修正したカットのデータをA100_H05として再転送します。納品締め切りが迫って、1秒でも時間が惜しいあわただしさの中でも、スムーズに対応ができました。仮に、〈HARBOR〉がなかったら、例えばテイク管理番号の書き間違いによるデータの消失、HDD輸送時の交通事故や転送中のトラブル、コピー忘れなど様々なリスクがあるのですが、今回、それらを回避することができました』
IMAGICA Lab.で編集中の新海監督から「前回のテイクをもう一度欲しい」というオーダーの時には、その連絡から時間を置かずに該当のデータを転送。そのスピード感を “有益”と感じていただけたはずと言う。
『実は、弊社は〈HARBOR〉のサービスのひとつ、〈HARBOR倉庫〉を以前から利用しています。そこには過去作品の原画やカット袋一式をお預けしているんです』
原画を外部倉庫に保管することで、社内保管のリスクを排除している。
『データ転送や、データの保管など、映像制作現場の助けになるサービスとして、弊社は今後も〈HARBOR〉の利用を続けていくと思います』

USER PROFILE

作家マネージメントに始まり、アニメーション映画の制作・劇場配給・パッケージ販売、海外セールスまでを一気通貫でおこない、日本アニメ界において唯一無二の地位を築いた新海誠作品やPeeping Life(ピーピング・ライフ)など、作家性の強い映像作品を世に送り出している。

社名
株式会社コミックス・ウェーブ・フィルム
URL
https://www.cwfilms.jp/
住所
東京都千代田区九段北4-1-9 市ヶ谷MSビル5F
取材日
2019年10月

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