EVS製品を活用した「第12回 World Games 2025 成都大会」におけるマルチスポーツの制作事例

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第12回ワールドゲームズ2025成都大会のメインビジュアル。EVSのライブ制作ソリューションを導入したスポーツ放送の事例紹介。

上海メディアテクノロジーが第12回ワールドゲームズの放送を支援

中国有数のメディア技術サービスプロバイダーである上海メディアテクノロジー(以下SMT)は、第12回ワールドゲームズの公式ホスト放送局であるインターナショナル・スポーツ・ブロードキャスティング(以下ISB)より、サービスプロバイダーに任命されました。

2025年8月に中国の成都で10日間にわたって開催されたこの大会には、116カ国から約4,000人のアスリートが集結し、34競技256種目で熱戦を繰り広げました。

世界中の視聴者が最高水準の中継を期待する中、SMTは、イベントが求める「安定性」「完全な機能性」「迅速な対応力」という厳格な基準を満たし、完璧で大規模な放送運用を実現するという大きなプレッシャーに直面していました。

それを実現するため、SMTは、実績ある放送システムの信頼性と、現代のマルチベニュー(複数会場)・マルチスポーツ制作に不可欠な俊敏性、拡張性、効率性を兼ね備えた、モジュール式のソリューションを必要としていました。また、そのソリューションは世界規模の放送を支えつつ、現地の制作要件にも適合するものである必要がありました。

SMTは複数のオプションを評価した後、包括的なメディア管理のためにEVSの「MediaCeptionソリューション」を選択し、リプレイとハイライトのために「LiveCeptionソシューション」を組み合わせて、制作戦略の基盤を形成しました。

EVS MediaCeption(メディアセプション):ライブ制作におけるアセット管理とコンテンツ管理ワークフローの概念図。
EVSが提供するライブ制作のためのコンテンツ管理ソリューション
EVS LiveCeption(ライブセプション):ライブリプレイ、ハイライト作成、マルチプラットフォーム配信のための制作ソリューション構成イメージ。
EVSが提供するライブ制作・リプレイハイライト配信ソリューション

制作・運用を進化させるEVS製品はこちからから確認できます。

実際の操作画面やワークフローをデモでご確認いただけます。 導入検討の初期段階でも、お気軽にご相談ください。

課題

これほど大規模なイベントの制作には、膨大な数の制作ワークフローを同時に管理し、調整(オーケストレーション)することが求められました。

SMTにとって中央集中型システムの導入は不可欠でした。もしそれがなければ、ワークフローの断片化、メディア転送の重複、バージョンの不一致、制作スピードの低下、そして編集や運用上のミスが発生するリスクを抱えることになったからです。

今回の運営における課題は、以下すべてをサポートできる一元化された環境を構築することでした。

  • 大量のインジェスト(取り込み)と構造化されたメディア管理
  • 迅速なハイライトおよびクリップ作成
  • ラフカット編集からオンライン編集へのシームレスな連携
  • 包括的なメタデータ・ロギングとコンテンツの付加価値向上(エンリッチメント)
  • ISBからの急な変更依頼にも柔軟に対応できる仮想化デプロイメント
  • 将来の再利用に向けた効率的なアーカイブと検索・抽出
  • 国際放映権者への直接かつタイムリーなコンテンツ配信
  • 24時間365日体制の信頼性の高いライブ送出

つまり、SMTが求めていたのは運用全体の中枢神経を担うシステムでした。それは、拡張性と統合性を備え、複数のチームや多様なフォーマット間でリアルタイムに共同編集ができるよう設計されている必要がありました。

ソリューション

SMTはEVSと緊密に連携し、同社の「MediaCeption」および「LiveCeption」を中心としたカスタマイズシステムを設計しました。ISBも含めた三社間で幾度もの技術協議と共同システム設計を重ね、EVS製品の強みを最大限に活かしつつ、ISBの要求に正確に合致するソリューションを作り上げました。

最終的に構築されたシステムは、『20のワークステーション』『9つのオンライン編集スイート』、そしてハイライト制作から送出までを完全に統合したワークフローを支えています。

  • リアルタイム・メディアハブ: すべてのフィードはEVSのプロダクションサーバーに直接インジェストされ、リアルタイムのメディアハブを形成。オペレーターは収録中の映像に対して、即座にロギングやメタデータの付加、利用が可能になりました。
  • 圧倒的なスピード感: 制作チームは、収録中のファイル(グローイング・ファイル)に瞬時にアクセス。競技の決定的瞬間から数秒以内にリプレイを切り出し、即座にEVSネットワークにパブリッシュして、送出や権利保持者への配信を行いました。
  • Adobe Premiere Proとのシームレスな連携: ラフカットは仕上げのためにAdobe Premiere Proへスムーズに移行され、完成後は再びEVS環境で利用可能になります。
  • 高度な検索性: SMTチームが作成したメタデータ・ログにより、複数競技・多岐にわたる数千の資産の中から、タイムコードに基づいた詳細な検索が可能になりました。

すべてのワークステーションが同期された同一のメディアプラットフォームに接続されていたため、SMTのチームは大会期間中、インジェスト、ロギング、編集、送出、配信のすべてを完全に並行して(パラレルで)進めることができました。

また、今回のプロジェクトにおける重要なポイントは「仮想化技術」の採用です。これにより、サーバーリソースの効率が向上し、デプロイの柔軟性が高まりました。その結果、ISBからの直前の変更依頼にも迅速に対応でき、イベント後のシステム構成の最適化も容易になりました。

全体システムはモジュール式アーキテクチャで設計されており、必要に応じてコンポーネントの分割、再組み立て、再配置が可能です。この柔軟性により、短期的なプロジェクトの完遂と、長期的なリソース活用を両立させる「再利用可能な技術基盤」が確立されました。

ソリューションの強み

迅速な制作
(ファスト・ターンアラウンド)

「MediaCeption」の直感的なインターフェース超高速なコンテンツ検索ツールにより、制作チームは必要なシーンを素早く特定し、クリップの作成・整理を瞬時に行うことが可能になりました。

制作規模の拡張性
(スケーラビリティ)

SMTは必要に応じてリソースを容易に追加することができました。これにより、世界規模の制作プロジェクトにおいても、スムーズかつ信頼性の高い運用が維持されました。

柔軟性と最適化

EVSの仮想マシン(VM)デプロイによるワークフローを採用したことで、リソース配分調整、スケーリングが自在になりました。また、これは二酸化炭素排出量の削減にも貢献しています。

広範なロギング機能

SMTのロギングチームは、制作上の編集ニーズに合わせて、柔軟なメタデータプロファイルタイムコード付きの注釈をライブコンテンツに付与することができました。

コラボレーションの強化

EVSビデオサーバー内のコンテンツと、従来のストレージ・ソリューションの両方に即座にアクセスできる環境が整いました。これにより、異なる制作チーム間での効率的な共同作業が実現しました。

効率的な導入

EVSの専門知識を活用することで、システム設置にかかる時間を短縮。リソース要件を最小限に抑え、運用リスクを低減することに成功しました。

SMTがEVSを選んだ「決め手」

意思決定の過程において、SMTはEVSのソリューションが競合他社よりも一歩抜きん出ていると評価しました。その理由は、今回のイベントにおける当面の運用ニーズを完璧に満たすだけでなく、クラウド統合AIを活用した制作といった、将来的な長期ワークフローをサポートする拡張性を備えていたからです。

また、EVSの強力なグローバル・サポート体制も重要な要因となりました。EVS中国の現地チームが12日間の全日程にわたって現場でテクニカルサポートを提供。システムの設営からライブ制作の本番まで、一貫して安定した、信頼性の高いパフォーマンスを維持し続けることができました。

まとめ

SMTは、EVSの「MediaCeption」および「LiveCeption」ソリューションを通じて、2025年成都ワールドゲームズにおいて、統合され、信頼性が高く、かつ拡張性に優れた制作ワークフローを実現しました。このプロジェクトは、高度な機能性コスト効率導入の柔軟性、そして長期的な持続可能性を高い次元で両立させることに成功しました。これにより、大会直近の厳しい要求を満たしただけでなく、将来の制作にも再利用可能な技術基盤を確立しました。

高品質な世界放送を保証したことに加え、本プロジェクトは、タイトなスケジュールや予算制約という困難な条件下においても、SMTが先進的かつ革新的な放送システムを効率的かつ確実に構築できる能力があることを証明しました。この導入事例は、その後、放送業界におけるベストプラクティス・リファレンス(模範的事例)として広く認められています。

今後、このワークフローは数多くの後続プロジェクトへと展開される予定であり、世界の放送市場におけるSMTの技術的優位性競争力をさらに強固なものにしていくでしょう。

一方、EVSは進化し続けるメディア資産プラットフォームを通じて、ハイブリッドクラウド運用、AIによるコンテンツ強化、そして次世代の放送アーキテクチャを可能にし、世界規模の主要なスポーツイベントにおけるライブ制作の未来を形作り続けています。

制作・運用を進化させるEVS製品はこちからから確認できます。

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