Huluドラマ「インテリア・チャイナタウン」、DaVinciResolve Studioでグレーディング
- Blackmagic Design
カラリストのエイデン・スタンフォード氏が、複数のストーリーラインおよびルックの複雑なグレーディングを担当。

東京、日本 – 2024年12月19日 (木)
Blackmagic Designはこの日、Huluの配信ドラマ「インテリア・チャイナタウン」が、ArsenalFX Colorの監修カラリストのエイデン・スタンフォード(Aidan Stanford)氏により、編集、グレーディング、VFX、オーディオプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioを使ってグレーディングされたことを発表した。スタンフォード氏によると、同作ほど複雑なグレーディングはこれまでになかったが、クリエイティビティの幅を押し広げ、強力なチームと作業することで、優れた作品を仕上げることができたという。
ドラマクリエイター、製作責任者、ベストセラー小説の筆者であるチャールズ・ユー(Charles Yu)氏、そして製作責任者および監督であるタイカ・ワイティティ(Taika Waititi)氏による「インテリア・チャイナタウン」は、偶然犯罪を目撃してしまった刑事ドラマの脇役俳優、ウィリス・ウー(演:ジミー・O・ヤン)のストーリー。
「このドラマでは、複数のストーリーラインが絡み合っていますが、それぞれに異なるグレーディングのアプローチを採用しており、パレットだけでなくテクスチャーも変えています。」スタンフォード氏は語る。「長年コラボしているシネマトグラファーのマイク・ベルルッキ(Mike Berlucchi)からグレーディングを任されたことは光栄ですね。マイクは常に無茶な要求を持ちかけてくるんです。シネマトグラファーのタリ・シーガル(Tari Segal)が半分のエピソードを撮影したのですが、私たちがシーンごとにクレイジーなルックを創り上げていく中で、彼女は思考のプロセスを見事に提示してくれました。」

スタンフォード氏は、それぞれのストーリーラインの美的感覚に忠実でありつつ、主人公が暮らす世界の複雑でカラフルな世界観を作成するというタスクを請け負った。スタンフォード氏は、活気のあるチャイナタウンの生き生きとした雰囲気を残す一方で、刑事ドラマ「LAW and ORDER:性犯罪特捜班」のような、クールなブルーがかった、鮮明で彩度の高いルックを適用した。シリーズ後半では、より伝統的なフィルムルックに移行していくと同氏は語る。
「ストーリーの大部分はチャイナタウンとレストランの中で進行しますが、特にこれらのシーンのLUTは、カスタムカーブと特定の彩度コントロールから成っています。LUTをテストした際、最初マイクはルックがベーシック過ぎると言ったので、強烈な”フルボディ”のバージョンを彼に送りました。非常に複雑で個性的なバージョンです。フィルムスタイルのトーンマップで、赤と緑の特定の色相を強調しつつ、スキントーンの彩度を正常に保ちます。」スタンフォード氏は続ける。
「パイロット版では、登場人物たちがレストランに入ると刑事番組や事務的なルックになるので、すべての構成を事前に考えて、フレーム内のわずかなエリアであっても、刑事ドラマのような事務的なルックにしなければなりませんでした。刑事ドラマやスーパー8mmなどの特定のLMT(Look Modification Transform)をノードでグループ化し、特定のルック用のグレインノードと共に使用しました。また撮影現場で断続的に使用していたPanavision PVintageのアナモフィックレンズのエッジディストーションの形状を模倣したり、強調したりしました。」

「カメラ内でトランジションする必要のある、軽いジョークのシーンがありました。厄介だったのは、ルックのカラーやトーンが完全に決まっていなかったことです。 そのため序盤はカラーに関して苦労しました。ショットのトランジションに合わせて、グレインが35mm風のざらついたスタイルからクリーンに変化していきます。スムーズに変化させる必要があったのですが、グループノードではこれを作成できませんでした。私は、トランジションショットのルックを別のグループで作成することもあり、クリーンで一般的なルック(グレインなし、エッジブラーなしなど)から始めて、特定のルックの最初のショットや最後のショットを構築しました。例えばチャイナタウンのルックから刑事ドラマのルックにトランジションする最初のショットや最後のショットを、クリップノードにダイナミックな方法で追加してコントロールしました。」
スタンフォード氏はまた、2トーンと金色のムーディーなウイスキーのCM、明るくカラフルでポップなデオドラントのCM、90年代の初期HDビデオのルックを彷彿させるホットソースのCMなど、いくつかのCMを模倣した。また、悪夢のようなシーンは黙示録的なスタイルを採用。コントラストを強調し、白粉をふいたようなハイライト、彩度を落としたシャドウにしてグレインを強調している。「このプロセスは非常に面白いものでした。」あるルックから別のルックへとトランジションする際のクリエイティブな過程とその結果についてスタンフォード氏は語る。
「異なるグレインやLMTなど、以前のエピソードのルックをモニター用に使用しなければならないことが何度かありました。シリーズを通して多くのルックが繰り返し使用されているので、アプローチ方法をよく考えて管理する必要がありました。作業中に、多くのスチルを撮りラベル付けしました。」同氏は続ける。「また、VFXも多用しており、グレイン、ハレーション、グロー、カラースペースの変換にはResolveのOFXを使用しました。」
「一般的にカラリストの仕事は、キャプチャーした素材を解析してアイデアを実現するために使用することだと考えています。つまり、カラーコレクションで何が可能かあまりわかっていない人にとって、クリエイティブになれるチャンスです。カラーコレクションのセッション中に、”アイデアがあるならとりあえずやってみよう”とよく言っていますね。撮影を公平に評価する世界を作ること、そしてクリエイティブな人たちをワクワクさせることが、何より最高ですね。」スタンフォード氏は最後こう結んだ。

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