岩井俊二監督作品「キリエのうた」のグレーディングおよびVFXにDaVinci Resolveを活用

  • Blackmagic Design

東京、日本 – 2024年1月24日 (水) – Blackmagic Designはこの日、岩井俊二監督の長編映画「キリエのうた」のグレーディングおよびVFXにDaVinci Resolve Studioが使用されたことを発表した。同作は岩井監督自らグレーディングを行なっている。VFXは映像クリエイターの田中裕治氏が担当。

岩井監督と音楽プロデューサーの小林武史がタッグを組んだ同作は「スワロウテイル」、「リリイ・シュシュのすべて」に続く音楽映画。歌うことでしか声を出せない路上ミュージシャン、キリエを中心に4人の男女の出逢いと別れを描いた作品。今年解散した六人組ガールズグループBiSHの元メンバーで現在はソロアーティストとして活躍しているアイナ・ジ・エンドが、同作で映画初主演を務め、劇中曲も制作している。そのほか広瀬すず、松村北斗、黒木華などの人気俳優陣が出演している。

「この映画の元となる小説を書いているときに、アイナさんのことを知って、そこから彼女をイメージして話を書き進めていきました。」と岩井監督は話す。

石巻、大阪、帯広、東京。岩井監督にゆかりの地を舞台に物語は繰り広げられる。撮影には約5ヶ月間、延べ日数で42日間ほどかかったという。「撮影中はスケジュールやロケーションの問題、予算の問題などいろいろなことの対応に追われています。ライティングも今回自分でやっています。逆に役者さんには細かく説明せずに自由に演じてもらいました。また撮影時間の節約と、何度も同じことをやって役者さんに負担がかからないように、複数のカメラを使ってマルチアングル撮影しました。撮影時にある程度のトーンは決めましたが、できるだけプレーンに撮りました。(現場で)フィルターなどを使うと後戻りできないので、フィルターをかけたいときは、デジタルで処理しています」と岩井監督。

ポストプロダクションでは、岩井監督自らグレーディングを行ない、VFXは田中裕治氏が担当した。「DaVinci Resolve Studioを自分で使うようになったのは一昨年くらいからですね。大体はトーンカーブを使って調整します。色をこうしたい、という考えがあってもそれを人に説明するのはかなりしんどいので、自分でグレーディングした方が早いんです」と岩井監督は話す。

田中氏はVFX作業についてこう話す。「Fusionを使ったVFXは90カットくらいありました。バレ消しなどの映画を観ていてもほとんど気づかないようなものが多いですね。」

同作では登場人物たちの13年にわたる関係を描いているため、シーンによっては過去には存在しない建物などが映り込むことがあった。「大阪のシーンであべのハルカスが映り込んでいたので、その建物を消しています。新宿駅南口のシーンでは、実際は夜中の2時くらいで誰もいないところだったので、人を足すこともしています。」

またキリエが妊娠しているシーンについて田中氏はこう説明する。「妊娠したお腹を、グリッドでメッシュを作って、それを伸ばして表現しました。さらにペイントをつかってぼかしています。CGっぽさが出ないよう、できるだけ自然に見せるように心がけました。」

田中氏はFusionについてこう話す。「Fusionはノードベースなので、途中でやり直しや修正が入っても、パーツ、パーツは取っておけます。それらの繋ぎ方の順番を変えたりするだけで修正がやりやすいですし、レイヤーベースのアプリケーションより全体図が見やすいですね。」

「DaVinci Resolveはグレーディングだけではなく、Fusionでの修正などでも活躍しました。昔だったらできていなかったことが実現できたのでよかったですね」と岩井監督は結んだ。

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