「目に見えないクラウド」への不安を確信に変えたワークフロー刷新 びわ湖放送が国スポで挑んだ「脱・物理メディア」の最適解
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2025年、44年ぶりに滋賀県で開催された「国スポ・障スポ」。びわ湖放送は県内全域に散らばる競技会場から大津市にある本社へ迅速に映像を集約するため、物理的な移動距離という大きな課題に直面していた。
この課題に対し同局が導入したのが、フォトロンが提案したモバイル映像伝送ソリューション(Haivision Pro × TASKEE)である。過去に事例のない「クラウド運用」に対する現場の不安を、徹底した伴走型サポートでいかに払拭し、失敗の許されない大規模の大会を成功へ導いたのか。同局が切り拓いた新時代のワークフロー確立の軌跡について、プロジェクトを牽引したびわ湖放送株式会社 総合メディア企画部 北村 貴 氏にお話しを伺った。
ポイント
- クラウドを利用することで従来の素材回収にかかっていた時間を、数分に短縮。
- お客様の課題に合わせ、フォトロンがクラウドソリューションを構築、導入からサポートまでトータルで提供。
- 大会開催中クラウドを遠隔で監視、トラブル時に備えたサポート体制。
競技会場からの素材映像回収に立ちはだかる「物理的距離」の課題
2025年9月28日から10月8日までの11日間、10月25日から10月27日の3日間にわたり開催された国スポ・障スポ(国民スポーツ大会)。広大な滋賀県全域に散らばる各会場で多数の競技が同時進行するこの大規模イベントにおいて、びわ湖放送のプロデューサーとして現場の中核を担うのが北村氏だ。
北村氏は「今回の国スポにプロデューサーという立場で携わることになり、映像素材回収をどのように行うかが真っ先に頭をよぎりました。」と話す。
今回の大会は滋賀県全域に会場が分散しており、多数の競技が同時進行するため、放送・配信における現場の運用やシステムの安定性が極めて重要な課題となっている。北村氏のチームに求められたのは、各会場のカメラマンが撮影した映像素材をできるだけ早く本社へ届け、大型ビジョン向け映像や特番用VTRとして編集・送出することだった。競技の進行に合わせて映像を活用するためには、素材の回収から編集までの時間をいかに短縮できるかが重要となる。しかし、今回は競技数が多く、移動距離も長いため、1日に回収できる拠点は限られ、物理的な回収だけではスピード感を持って対応することが難しい状況であった。こうした背景から、物理的な距離に左右されない新たな映像伝送の仕組みが求められていた。
課題に沿ったソリューションの提案と、クラウド運用への挑戦
解決策を模索する中、北村氏は別のスポーツ中継の現場で、モバイル回線を活用した映像伝送が実運用されている様子に着目した。「同様の仕組みを使って、県内各地から本社へダイレクトに映像を送れないか」。そう考えた北村氏は、映像伝送に知見を持つフォトロンに相談した。
そこでフォトロンから提案されたのが、モバイルトランスミッター「Haivision Pro」と、クラウドストレージサービス「TASKEE」を組み合わせた映像伝送ソリューションだ。実は北村氏自身、クラウド技術のメリットを深く理解しており、この仕組みなら「物理メディアを介さず、必要な映像だけをクラウドから引き出せる。」と直感的に確信していた。
フォトロンが構築したソリューションでは、びわ湖放送の撮影チームがHaivision Proで競技映像を収録し、収録の停止ボタンを押すと数分でクラウドMAMの「TASKEE」に自動で転送され、編集チームのダウンロードが可能になる構成である。
クラウド環境はフォトロンで監視をしており、不具合が生じた場合でも、速やかにサポートできる体制を構えていた。

印象的なのは、発注までの流れがスムーズだった点だという。北村氏は詳細な要件定義を自ら作り込むのではなく、解決したい課題や要件についてフォトロンに相談しながら要件を整理していった。そしてフォトロン側は同局の希望するワークフロー要件をヒアリングし、現場が最も使いやすい形でソリューションを構築してみせた。 「こちらは要件を伝え、あとは安心してお任せできました。こちらの意図を汲み取った精度の高いシステムを組み上げてくれたことが、最初の大きなメリットでした。」と北村氏は振り返る。
しかし、北村氏の確信とは裏腹に、現場では慎重な意見もあったという。長年「物理メディア」を手渡しすることで映像の安全を担保してきたスタッフにとって、目に見えない「クラウド」への移行は大きな不安を伴うものだった。国スポという失敗が許されない舞台において、この「認識のギャップ」を埋めることが、プロジェクト完遂のための次の課題となった。
不安を確信に変えた「伴走型サポート」と、クラウドの機動力
現場の不安を払拭したのは、フォトロンの徹底した「伴走型」の支援だった。導入決定後、フォトロンの担当者は同局へ足を運び、カメラマンや編集スタッフに向けて丁寧なレクチャー会を実施した。単に機材を納品するだけでなく、現場の不安に丁寧に耳を傾け、運用イメージを共有することに注力していた。
大会が開幕してからも、その手厚いサポート体制は続いたという。11日間の長丁場、しかも土日を問わず進行する過酷な現場において、フォトロンの担当者は常に連絡がつく体制を維持していた。
「困ったことがあれば、土日でもすぐに電話で対応してくれました。システム上のトラブルだけでなく、些細な疑問にも即座に回答が得られる。このレスポンスの早さが、現場スタッフにどれほどの安心感を与えたか計り知れません。」
操作性の良さと手厚いサポートにより、当初は不慣れだったスタッフも数日でシステムを完全に使いこなすようになったと北村氏は言う。スタッフの労働負担軽減にも繋がり、懸念されていた通信の安定性も、システムの性能と入念な事前検証により、大きなトラブルなく閉幕まで完走した。迅速に集約された映像素材は、大会の閉会式で感動的なダイジェスト映像や番組の素材として活用され、閉会式を無事に終えることができた。
信頼という付加価値 次なる挑戦へ向けた最良のパートナー
「大きなプレッシャーがかかる現場で新しい技術に挑戦できたのは、フォトロンさんの『アフターケアはしっかりやるので大丈夫です』という力強い言葉と、それを裏付ける行動があったからです。」
北村氏は、今回のプロジェクトを振り返り、そのように語った。
フォトロンへ依頼した最大のメリットは、現場の立場に立ち、運用の細部まで配慮した提案力、そして本番期間中も現場と並走する「寄り添う姿勢」にあった。
これまで放送現場で不可欠とされてきた物理メディアによる運用という常識も、今回の成功を通じて確かな変化を遂げた。北村氏は「いずれSSD等物理メディアがなくても誰も不安に思わないワークフローが確立できる。」と確信している。それは便利なツールの導入を超え、制作体制そのものが新時代へとアップデートされた瞬間でもあった。
「困っていることに対して深く入り込み、解決策を提案してくれる。そして、何よりアフターフォローが万全であること。それがフォトロンさんの最大の魅力です。」
その言葉には、システムの安定性と人的なサポートへの確かな信頼が込められていた。
(取材:2026年4月)
導入製品
- TASKEE
- Haivision(2025年12月31日をもちまして製品取り扱いを終了させていただきました。)
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