M2A Mediaとの提携でAWSを利用した映像制作ワークフローの運用時間が最大75%削減
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フォトロン(以下当社)は、日本国内のスポーツリーグ運営団体(以下運営団体)から委託を受け、中継映像制作のワークフロー管理・オペレーションを行っています。当社は従来、Amazon Web Services(AWS)を利用し、中継映像のキャプチャ・制作・配信に必要なワークフローを構築のうえ運用していました。しかしそのワークフローのオペレーションを手作業で行っていたため、技術スタッフのリソースの大半をつぎ込むこととなり、新たなサービスを展開する上での障壁となっていました。その課題解決に向け当社はAWSパートナーであるM2A Media(以下M2A)と提携、AWS Media Serviceの自動化と統合(オーケストレーション)が実現しました。その結果、ワークフローの準備と実際のオペレーションにかかる時間が最大75%、人件費は15%の削減につながりました。
(M2A Mediaが作成した事例記事を和訳のうえ転載)
主なメリット
- 試合前日までのオペレーション効率が75%向上
- 試合当日のオペレーション効率が60%向上
- 自動化により人件費を15%削減
- 新しいワークフローの作成速度が3倍向上
- MP4ファイル作成処理速度が9倍向上
課題
当社のスポーツビジネス推進部は、日本国内で市場開拓型のスポーツ中継・制作・配信のシステムを提供、またそれらシステムのオペレーション作業も委託を受けて行っています。そのため日本国内における多くのスポーツリーグ団体と連携し、AWS Media Serviceを利用した試合の中継制作・配信を実施しています。
2024年、当社は国内の 3 部リーグにまたがるシーズンマッチを運営するリーグ団体から、3 部リーグすべての試合における制作・配信オペレーションの運用委託を受注しました。具体的には、ワークフローを介して放送局やその他のサービス、プラットフォームに対して中継映像を制作しそれぞれのフォーマットに合わせた提供を行うオペレーションになります。
約1年におよぶオペレーションを経て2024年シーズンを終えた時、当社はワークフローに対して下記3点の課題を明確に認識していました。
- オペレーションが手動
- 技術スタッフ不足
- 手動のため、オペレーションとインフラ面での規模の拡大・縮小が困難
1.オペレーションが手動
各試合のオペレーションにあたり、試合開始前・試合中ともにワークフローに対しての手動設定の機会が頻繁にありました。また試合開催日は最大30試合が実施されるため、煩雑なオペレーションをこなすため人員増による人件費の増大にもつながりました。
2.技術スタッフ不足
シーズン開始の時期にあわせ、ワークフローを開発した技術スタッフの離脱に伴う人員不足が表面化しました。そのためオペレーションワークフローの技術サポートが困難となるだけでなく、リソース不足に伴い部門内における新製品導入や他のサービスにも影響が出てしまったのです。
3.手動のため、オペレーションとインフラ面での規模の拡大・縮小が困難
ワークフローの手動性が非常に高いため、オペレーションとインフラの両面で試合日における開催試合数に対応したスケーリング調整が難しいことも課題でした。
そこで当社は上記3点の課題を2025年シーズン開始までに解決するため、運営団体と共に協力できる戦略的パートナーを探していました。
解決策
当社にオペレーションを委託した運営団体から、M2Aと当社による提携の提案がありました。提案理由はジャパンラグビーマーケティングにおいてM2Aの成功実績があることと、同社が提供するプラットフォーム「M2A Connect」がAWS上で稼働し、オペレーションの簡素化につながる特長を持っていることでした。その特長とは、放送基準に則った高い映像品質を損なうことなく、複雑なワークフローを自動化できることです。
当社はM2Aとの提携前からAWS Media Serviceを導入済でした。これはクラウドベースでの中継・配信における映像ワークフロー構築・管理のためで、実際にストリーム配信の実績もありました。なおAWS Media ServiceにはSRTに対応したAWS Elemental MediaConnectと、クラウド上でエンコードするAWS Elemental MediaLiveが含まれています。
ワークフローは1試合あたり最大6つ求められます。それはSRTによる映像伝送、SRTから異なる映像フォーマットへの変換、伝送中断を回避する(ライブフェイルオーバー)ためのYouTubeへのバックアップ伝送、審判とクラブチーム向けの分析用ビデオ・オン・デマンド (VOD) MP4ファイルの生成、SNS用映像作成のためのストリーム、リーグ運営団体が管理するAmazon Simple Storage Service (Amazon S3) への試合映像アーカイブの6つのワークフローです。
その6つのワークフローのオペレーションにおける煩雑な手動作業を排除し統合することが、中継制作オペレーション改革の鍵となりました。
「これら 6 つの異なるワークフローを 1 つの画面にまとめることで、オペレーターはすべてが期待どおりに動作していることを非常に簡単に確認できます。キックオフ前には通常 1 時間ほどのスピンアップ時間を設け、オペレーターはすべてのリソースが期待どおりに動作していることを確認できるようにします。これは数分で完了するはずですが、問題が発生した場合には、原因を特定して再起動または修正する時間も設けています。」と、Ciarán Doran、M2A Media CEOは述べています。
手動作業の煩雑さ排除するため、M2Aは当社に意見を仰ぎながら、インターフェースの使いやすさを徹底的に追求する形でシステム構築を進めました。特にメニュー表記の正確な日本語化に力を入れたため、オペレーション時のスムーズな操作につながっています。
またM2Aのユーザーサポートの特長として、世界各地の拠点(バングラデシュ、英国、米国)を活用した24時間体制のサポートが挙げられます。そのためユーザーはトラブルが起きた際、常にサポートを受けることができるのです。
「この常時サポートは私たちにとって非常に重要でした。システムにおいて多くの要素が複雑に絡み合っているため、小さなエラーや問題が見つかった場合にM2Aのサポートチームとリアルタイムでコミュニケーションを取れることがとても重要になります。」と中山 力、フォトロン スポーツビジネス推進部長は話します。
成果
2025年シーズン、試合時のオペレーション効率は劇的な改善を見せました。ワークフローの自動化と統合により、試合前のワークフローに関する作業は75%、試合当日は60%も削減されたのです。
最も効果が大きかったのはVODワークフローでした。従来は3時間かかっていた処理を30分で完了させるという目標を立てシステム構築を進めましたが、結果的にMP4生成が最大9倍の速さで処理されることになり、VODアセットの配信も数時間からわずか数分で完了する改善となりました。
それぞれのワークフローのオペレーション開始タイミングも試合スケジュールに基づいた自動開始となったため、人件費も15%の削減につながっています。
また新たなワークフローの開発についても、既存テンプレートとプリセットを流用することで従来の3倍の速さで完了します。
Doranは続けます。「AWSのMedia Servicesは素晴らしく、クラウドを活用した制作の基盤となります。しかし、試合中継などで大規模に展開する場合、スムーズな運用にはオペレーションの統合が重要であり、そこでM2Aが役立ちます。」
AWSを利用した映像の配信管理により、従来の高コストな衛星転送に比べてコストの削減にもつながっています。何よりもAWS上におけるM2Aとの連携で、常に安定した配信体制を構築し運用できるという確信を当社は得ました。
中山は最後にこう述べました。「これほどまでに安定したシステムの実現を誇りに思います。今では大きな問題やトラブルは一切ありません。すべてがスムーズに動作しており、これはクライアントにとって非常に重要です。」
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