ハイスピードカメラや映像関連システムを中心に事業分野を広げ、成長を続けているフォトロン。社長の瀧水隆に、自身の経験と会社の展望を交えながら、求める人材について聞きました。
私たちはハイスピードカメラなどを製造・販売するメーカー的な側面もあれば、海外の優れた映像システムなどを輸入してシステム提案するSIer的役割も担っています。また、CAD関連ソフトウェアなどの開発スタッフを抱えるソフトウェア会社としての側面も持っています。そのうえ、アメリカ、ヨーロッパ、中国、ベトナムに海外現地法人を置いた、世界市場を相手にしている企業なので、いろいろチャレンジできる会社です。
取引先には大手自動車メーカーや某公共放送局など国内外でも名が通っている企業や大学、研究機関が多く、たとえばNASAにも製品を納めています。大学の授業をサポートする映像関連システムも扱っています。最先端のモノづくりや次世代の人材育成という重要な取り組みに、間接的に携わってもいます。納品した製品・システムのポテンシャルを100%発揮させるため、当社では納入後もサポートメンバーとしてお客様に関わり続けます。その意味では、当社の営業は単なるモノ売りではなく、技術営業です。サイエンティフィックな意味で社会貢献していると言えるかもしれません。これはフォトロンの社員だからこそ味わえる醍醐味であり充実感です。
最先端のモノづくりをしている人たちが商談の相手ですから、それなりの知識と専門性を必要としますが、それらは指示をこなしているだけでは身につきません。自らの力でモチベーションを高め、いろいろな物事に興味を示し、どん欲に知識を吸収していく人が当社にとけ込みやすいと思います。
特に近年は動画配信サービスやクラウド、メタバースなど、当社が関わっている世界でも次々と新しい動きが出てきています。そのスパンも非常に短く、そうした流れに乗って時代に即した企画・提案ができるのは、やはり若い人たちです。そういう意味で「好奇心」が強く新しいガジェットに興味をもち、積極的に提案をしてくれる人材を求めています。
ビジネスの世界は、一人では何もできません。同じ方向性の仲間が協力し合って、初めて当社の製品・システムも生まれ、最先端のモノづくりのサポートが可能となります。戦う相手は競合他社であって、社内の人間ではありません。私自身、フォトロングループ内の人間はすべて仲間であり、決して社内に敵はつくらないという信念のもとで働いてきました。この「仲間意識」を大切にできることも、「好奇心」とともにフォトロンの社員に求める重要なキーワードで、それは私の経験から導き出された信念でもあります。
私が社会人になったのは1983年の春で、入社したのは中堅商社でした。フォトロンはその子会社として設立された会社で、設立と同時に私は出向になりました。ところが、翌年の2月にこの親会社が倒産してしまったのです。しかし、その危機をフォトロンが乗り越えられたのは、当時在籍していた約20人の仲が良く、危機を乗り越えようとする同じ志をもった社員がいたからです。私自身、それが決め手となって正式な社員として残ることを決断し、現在に至るわけです。もっとも、当時は先輩を頼ってばかりもいられない状況で、必死になって知識の吸収に努め、徐々に戦力としての自信を備えていきました。
最初は32歳から4年間、シリコンバレーに赴任したのですが、駐在員は私一人で英語もほとんど話せず、ましてや現地でのフォトロンの知名度もほぼない状況のなか、自らがアンテナを張って食らいついていかないと、状況は何ら変わらないのだと思い知らされました。
また、そこでも実感したのが仲間の大切さです。挨拶の仕方から飲み会の雰囲気づくりまで、さまざまな面で支えてくれたのが現地採用のスタッフです。アメリカ人は考えていることをストレートに言いますが、こちらからもストレートに指示や判断の理由を説明すれば、理解してくれます。後に40歳から10年間、再びアメリカに駐在しましたが、帰国する際に現地のスタッフが送別会を開いてくれて、iPadと名前入りの時計をプレゼントしてくれたのは忘れられない思い出です。こうした出会いを、フォトロンに入社する人たちに、ぜひ経験して欲しいと思います。
今まで以上にグローバルに展開していく予定で、どれだけ事業領域を広げられるかがひとつの鍵だと考えています。そのためには、新しい技術やツールを取り入れなければなりません。技術革新のテンポが速くなっているなか、若い世代の社員の活躍が不可欠なのは述べたとおりです。当社の製品・システムで、間接的に未来の社会づくりをサポートしているのだという自負を持ちつつ、積極的な提案を期待しています。
会社としても、グロービスのオンライン動画サービスを受講できる環境を整え、開発担当者には各種セミナーの受講や社会人ドクターとして博士号の取得を推奨してきましたが、これからは、さらに人材育成に力を注いでいくつもりです。一方で、世界のトップ企業のモノづくりをお手伝いしながら、未来の社会像を勉強し、会社も社員と共に成長していきたいと思います。
本社オフィスのリニューアルを敢行など、時代に即した働き方へ進化し続けているフォトロン。取締役執行役員の高畑秀道に、現状と求める人材について聞きました。
2020年のコロナ禍による強制的な在宅勤務体制をきっかけに、全社にリモートワーク体制を構築しました。コロナ禍が明けた現在においては、出社とリモートワークのハイブリッドな勤務体制をとっており、現在のテレワーク率は約45%となっています。職種によってテレワーク率には差があり、開発系はテレワークが多く、製造・管理・営業系は比較的出社が多くなっている傾向があります。顧客訪問など外出の多くなる営業・技術系のメンバーについては、自宅からの直行や直帰など、効率的にテレワークを活用できる利点が増えていると思います。また、プライベートで育児や介護を要する社員については、出社必須の時よりも大幅に業務効率が向上し、アウトプットが増大しています。
当社は、全社員にPC/携帯電話を貸与してリモートワークがスムーズにできる体制にあるため、出社せずとも情報共有・相談・会議への参加などが可能です。ただ、直接会ってコミュニケーションを取ることでの“リアルならでは”の空気感も大事なことがありますので、常に効率と効果を考えながら出社・リモート・テレワークの働き方を選択することで、組織・個人の仕事力が向上することを期待しています。また一方で、情報セキュリティや機密保持が非常に重要になっており、eラーニングなどでこれらの情報提供を行いながら、社員個々のリスク管理力もこれまでより高まってきていると感じています。
2024年7月に本社オフィスをリニューアルしました。それまで1.5フロアあったオフィスを1フロアに集約し、全席フリーアドレスとしました。IT化によるペーパーレス化も進み、紙などの保管スペースを減少し、ドキュメントのデータファイル管理が進むことで保有面積を縮小、またテレワーク併用により全社員分の固定席を要しなくなりました。その分を社員間のコミュニケーション用のスペースとして開放したり、AWS(Activity Based Working)のコンセプトの元に、「集中」「協働」「リラックス」など、仕事のタイプに合わせたオフィスレイアウトを導入したため、社員は自分の仕事の内容に合わせて、効果的なスペースを自ら選択して勤務しています。
会社全体の人事情報を共有し、評価や人材育成に生かすタレントマネジメントシステムを導入しています。目標設定や人事評価、自己申告・アンケート調査などもこのシステムにて定期的に行われ、マネージャーをはじめとする管理職が所属部門メンバーの現状を確認し、部下をフォローしていく仕組みです。また、管理職へはできるだけ1on1ミーティングを実施して、仕事やキャリアに対しての考え・現場やプライベートでの悩みなどを引き出すように指示をしています。
育成については全社員にeラーニングプラットフォーム(GLOBIS学び放題)を提供し、全16種のカテゴリからいつでも動画コンテンツを活用した学びの機会が提供されています。オンサイトの研修としては、新入社員、若手、中堅、管理職とキャリアステージの変化に合わせて必要なスキルを確認できる研修も受講いただきながら、定常業務における上司や先輩からの指導と並行してのスキルアップを図っていただいています。技術力や英語などの専門部分の研修についても、適宜実施しております。
当社の所属しているIMAGICAグループにおいては、企業間の人事交流を積極的に行なっています。また、環境変化に合わせたグループ内での事業再編なども適宜行われますし、新規事業会社の設立や外部からのM&Aなども増えてきています。
当社においても2021年にグループ会社の開発部門を当社に集約、22年に光学計測部門を独立、24年にグループ会社を統合しスポーツビジネス部門を設立、25年にシステム開発子会社を開発部門へ統合というように、新たなメンバーがジョインして活躍しております。また、IMAGICAグループにて実施される「グループ内公募」を利用して、他のグループ会社に出向・転籍するような事例も増えてきました。
多彩で魅力あるグループ会社で働くことで、新たな視点や新たな仕事のやり方を学べ、キャリアアップにつながり、一方、会社側もその方が他社で行ってきた効率性や先進性を採り入れることができます。今までは気づかなかったことも見えてくるようになります。異なるノウハウの融合により、新たな領域の事業創造も期待でき、社員と会社の双方に好循環をもたらすことになりますね。
当社の企業理念である「顧客満足による信頼の創造」「お客様の業務効率向上に貢献」「画像にこだわる会社」に共感してもらえることが第一で、さらに将来の夢をもった人を求めています。互いの夢と夢が触発し合い、会社の成長にもつながると考えるからです。
働き方のところで触れた、出勤とテレワークのどちらが効率的か自分でコントロールする必要があります。スケジュールや目標の設定も自分のプランニングが求められます。また、それをもとに上司・先輩・周囲のメンバーと協調しながら成果を出すことが求められます。そうした観点から、「自律」「自発」も当社が求めるスキルのひとつです。
事業においては「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「IT活用/自動化」「AI活用による効率化」「持続可能性(SDGs)」といったテーマが重要になってきており、デジタルネイティブ世代のみなさんの感覚が非常に大事です。また、当社は各事業における海外との接点が年々多くなってきています。「グローバル視点」を持つとともに「外国語でのコミュニケーション」「異文化理解」も身につけていただきたいと考えています。
会社の規模より、まずは『自分の将来像をイメージし、それを実現していく上で自分が最も力を発揮できそうな会社』を目指して欲しいと思います。一方、就職活動そのものは楽しんでいただきたい。普通では知り得ない、会社の内部の情報をつまびらかに開示してもらえる機会は、なかなかないからです。最初に入社した会社で何をどのように学ぶかはとても重要です。したがって、さまざまな会社にトライして、そのひとつにフォトロンを加えていただければというのが人事担当者である私の思いです。