A24の「Y2K」、DaVinci Resolve Studioでグレーディング

  • Blackmagic Design

ティーン向けホラーコメディ、デジタルツールでフィルムルックを再現

東京、日本 – 2024年12月11日 (水)

Blackmagic Designはこの日、A24のホラーコメディ映画「Y2K」のグレーディングに、編集、グレーディング、VFX、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioが使用されたことを発表した。

同作は、1999年の最後の夜、大晦日のパーティーに潜り込んだ高校3年生の2人が、2000年問題の影響を受け、命がけで戦うことになる災害コメディだ。監督にカイル・ムーニー(Kyle Mooney)氏、撮影監督にビル・ポープ(Bill Pope)氏を迎え、グレーディングはパナビジョン傘下のLight Ironに所属するシニアカラリストであるチャールズ・ブナグ(Charles Bunnag)氏が行った。

ブナグ氏はカラリストとして「メン・イン・ブラック3」と「シャン・チー/テン・リングスの伝説」で以前にポープ氏と仕事をしたことがあり、本作において撮影監督としてポープ氏が求めるスタイルについて話し合った上でグレーディングに取り掛かったという。「ビルにとっては、本作が1999年に撮影されたかのように見えることが重要でした」とブナグ氏は語る。「ティーンネージャーを扱った当時の下品なコメディのルックと雰囲気を再現したいと考えていました。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』みたいなルックにしたい、という言葉がビルの口から出てくるとは考えても見なかったですが、結果的にそれが非常に良い参考となり、もう一度『スーパーバッド』を見る良い口実ともなりました。」

1999年には、映画はすべてフィルムに撮影されていたので、ルックを一致させることに関する会話はすぐに、フィルムのネガがどのように見えるか、また、それをどうやってDaVinci Resolve Studioで再現するかという話し合いに変わったという。「ビルとフィルムストックに関して簡単に話し合いましたが、技術的な面よりもフィルムに対する記憶の方が重要であるという判断にすぐに至りました。それを踏まえて、タイムラインのカラートラックにノードツリーを作成し、フィルムを再現するLUTのように使用しました。このLUT/ノードツリーにより、暖かみのあるホワイトポイントが得られ、ミッドトーンとスキントーンの赤が強調されました。」

また、同氏は「エッジ検出」ツールを作品全体に適用し、フィルムルックをさらに引き立てた。「エッジ検出の出力は、極めてシャープなエッジや細かなディテールで非常にわずかなぼかしを含めるためにマットとして使用しました。フィルムはピクセルで構成されていないため、画像がどれほどシャープで焦点が合っていても、厳密に言えば、真のシャープなエッジは存在しません」と同氏は続ける。「わずかなぼかしを『エッジ検出』でコントロールすることで、髪の毛の細い束や、高周波のディテールがある領域など、画像の極めてシャープな部分におけるデジタルな感覚を取り除くことができました。タイムラインのカラートラックにおける最後のステップとして、ゲインを追加しました。『ハレーション』も作品全体に使用しましたが、『グループ ポストクリップ』トラックで適用することで、シーンごとに調整できました。」

本作は、コメディー、ファンタジー、SFの独自の組み合わせであり、実写のアニマトロニクス、模型、CGなど、幅広い視覚効果が使用されている。同氏は、カラーグレードの要素を組み合わせることで、より統一感のあるルックを得られることを見出したという。「VFXにおける私の最大の貢献は、一部の合成に最後の仕上げを加えたことだと思います。黒レベルを調整したり、炎や爆発を際立たせたり、モニター画面の合成を一体化させました。ひとつのシーンは特に難しく、照明とVFXに違和感がないように感じさせるために、難しいロトスコープとカラーの調整を多数行う必要がありました。」

このシーンでは、レイチェル・ゼグラー演じるローラが邪悪なAIをハッキングするのだが、細心な注意を払う必要があったという。「モニターからの実際の照明は、ポストプロダクションでデザインが変更されたため、最終的な合成と一致していませんでした。この照明の不一致をリアルに見せる方法を探し出すことは大変でしたが、DaVinci Resolveのツールにより解決策を見つけることができ、誰もがその結果に喜んでいました。」

「Y2K」は現在、劇場公開中。

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