製図文化とCAD
CADとは、Computer Aided Design の略称で、コンピュータによる設計・製図支援ツールを指し、設計から製造/施工までのプロセスの効率化を実現します。
CADには3面図などの図面を製図する2次元CADと、3次元モデルをモデリングする3次元CADがあります。
1959年に自動車前面ガラス設計を目的としてアメリカで開発されたものが、CADの始まりといわれています。1960年代から航空機産業や軍事産業などで徐々に実用化されていきますが、大変高価な汎用コンピュータが必要であったため、一般的にCADが導入されるようになったのは1980年代に入ってからのことです。 こうして導入されていったCADですが、今やほとんどの製品開発・製造や、設計・施工などにおいてCADが利用され、製図用CADは現在では無くてはならないものとなっています。
製図文化・日本と海外の違い
1982年に16ビットPCが登場したことにより、2次元製図用CADを国内でも開発するようになってきました。国内での開発が盛んになってきた理由の1つは、海外と日本では製図の手法に決定的な違いがあったことです。
海外では「設計とは実寸で3次元形状を考えることであって、それをコンピュータで行うのがCAD」という考え方でした。ある方向から見た形状を、何もない宇宙のような自由空間にいきなり線を書いてゆくようなものです。
一方当時の日本は、製図機の全盛期で、製図板に紙を貼り付けて、3次元の状態を頭の中で2次元化し、縮尺を考えながら限られた領域にペンで製図を行うのが一般的な設計スタイルでした。
当社では、この「所定領域に作図を行う日本の設計スタイル」を取り入れ、1984年に当社初のパーソナルCAD「ASTY CAD」(おそらくこれが国産初のCADで、後の「図脳CAD」シリーズ)を発売しました。「ASTY CAD」では、まず用紙サイズを設定し、そこに描く対象物の外形サイズを入力することで自動的に縮尺がセットされる、あるいは対象物の外形サイズを入力しもっとも見やすいと思われる縮尺をセットすると自動的に適合するサイズの用紙が選択される、といった縮尺の概念を採り入れました。また、 紙には出力されない補助線機能(製図の補助として描き、後から消したりなぞったりして使う目安の線)をCADに持ち込むことで、製図機の使用感を得ることができました。「ASTY CAD」は、こうして日本の製図文化に基づいた操作性と製図機能を持つことにより、多くのユーザーに支持される製品となりました。
このように、日本の製図文化とは、レイアウト手法1つ取って見ても海外のものとは違いがあります。海外の製図思想が、個々のパートを別々に作図し最後にそれを出力用紙に合わせてレイアウトしていくパート中心の手法なのに対して、日本のそれは、まず1枚の用紙を前にして、その中にわかりやすく描くためには図面をどのようにレイアウトするかというイメージを決めてから製図していく、出力時の全体像を中心とした手法です。目安の線を利用する製図手法も日本独自のものと言えるでしょう。
図脳RAPID13について
こうしてフォトロンは、当社初の「ASTY CAD」を1984年に発売して以降、OSの進化やPCの高性能化にあわせて、お客様の要望を取り入れた新バージョンを開発し続けてきました。1991年に国内初のWindows対応CAD「図脳WinCAD」を発売、Windows95の登場と同時に「図脳RAPID」を発売(1995年)し、その最新版はVer.13にまでなり、このたび新発売されました。「ASTY CAD」では、数十だったコマンドが今や数百になり、「図脳RAPID13」ではセキュリティの強化も図られています。
3次元設計手法が一般的になりつつある昨今ではありますが、100年以上の歴史をもつ製図文化は、そう簡単になくなるものではありません。 これからも当社では、常に時代の功績と新たな流れを追い求め一歩進んだCADツールを世に送り出し続けていきます。
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