教育映像システム導入事例

資料や板書とあわせて講義を収録 学内ネットワークへ配信

教室に「Cbox」を設置して講義を収録、「Power Contents Server」で管理し学生の自己学習と教員のFD向けに動画コンテンツを配信。

導入前の課題

  • 学習意欲の高い学生のために、収録した講義内容で繰り返し学習できるシステムを作りたかった。
  • 授業評価から講義の質の向上につなげるため、教員の参考となる講義が閲覧できるシステムが求められていた。
  • コマ単位で異なる教員が担当するカリキュラムのため、収録データの効率的な管理が必要だった。
  • 症例など患者さんの個人情報に配慮し、教員が任意に収録を停止・再開できる仕組みが必要だった。

導入後の効果

  • 学生による講義評価と組み合わせて、教育の質の向上が期待できるようになった。
  • 電子シラバスシステムとの連携で収録した講義の自動管理が可能になった。
  • 教卓に操作機能を組み込んで、手軽に収録操作を行えるようになった。

埼玉医科大学医学部では、学習意欲の高い学生の学習環境向上および教員の講義の質向上を目的に、簡単操作で講義を収録し、学内ネットワークを通じて配信できる環境を整備しました。このシステムは株式会社フォトロンのソリューションを中心として構築され、収録機能は主要な教室に設置された「CBox Sシリーズ」、配信機能は「Power Contents Server」が担っているほか、独自に開発した電子シラバスシステムとの連携により、収録した講義の効率的な管理が可能となっているのが特徴です。

導入の経緯

優れた医師を育成するため授業改善などの施策に取り組む

埼玉県西部の穏やかな丘陵地帯で明治25(1892)年から地域一帯に医療サービスを提供してきた毛呂病院を前身として、1972年に開学した埼玉医科大学。県内唯一の私立医大として、「すぐれた臨床医」の育成に力を入れています。

全国的に慢性的な医師不足といわれる状況の中、より多くの優秀な医師を輩出することが各地の医科大学に求められており、埼玉医科大学もそうした社会的ニーズに応えるべく、入学定員の増加と同時に、教育品質のさらなる向上を目指してファカルティ・ディベロプメント(Faculty Development、略称FD)活動に取り組んでいます。

2007年以降、学生による講義の評価がコマごとに行われており、講義後一両日中には担当教員に評価の結果が通知されるようになっているそうです。

「FD活動の効果は明らかに出ています。その効果をさらに高めるため、学生の評価の高い先生の講義を収録し、他の先生に参考にしてもらいたいと考えていました」と、医学部教授で情報技術支援推進センター長を務める椎橋実智男氏はおっしゃっています。

埼玉医科大学 医学部 教授
情報技術支援推進センター センター長
医学博士 椎橋 実智男

「一緒になって作り上げてくれる」という期待で国産のフォトロンを選定

「すぐれた実地臨床医家の育成」は、埼玉医科大学の建学の理念の第一に謳われています。そして第二は「自ら考え、求め、努め、以て自らの生長を主体的に開展し得る人間の育成」です。FD活動の強化も大切ですが、講義収録の最も重要な目的は学習意欲の高い学生の自発的な学習の環境整備であると椎橋教授は考えています。

「欠席した学生の穴埋めにこのシステムを使ってもらいたいとは思っていません。意欲ある学生の反復学習に役立てたいという考えです。本学では、学生は原則として全ての講義に出ることになっていますから」(椎橋教授)学生にも教員にも役に立つ講義収録を目指す構想は、定員増に向けた新教育棟「オルコスホール」の建設をきっかけとして実現に向けて動き出すことになりました。

「理事長からは『単なる器でなく、群を抜いて優れたIT環境を整えてほしい』と言われ、また視聴覚設備充実を支援する文部科学省の施策も追い風となって、建設計画段階から講義収録・配信システムを組み込むことができるようになりました」(椎橋教授)

そこで椎橋教授は3社ほどの候補を検討した結果、フォトロンの「CBox Sシリーズ」と「Power Contents Server」を採用することにしました。最も重視したポイントは「きめ細かな要望を聞いてくれると期待できること」だったそうです。

「海外にも優れた思想の製品はありますが、過去の経験から、融通が利かないことも多いと感じていました。講義収録システムの構築は、本学では初めての取り組みなので、我々と一緒になって考え、作り上げてくれる日本のメーカーに期待したのです」導入から一年が経過し「細かな要望に対応してくれるスピードに満足しています」(椎橋教授)

導入の効果

教員の手許で録画機能を操作効率的な管理で手間もかからず

こうして、2010年度に竣工したオルコスホールでは、当初から講義収録が利用できる環境となった。各教室にはCBox Sシリーズが設置され、教卓のマイクや操作スイッチ、天井のカメラやプロジェクターなどと連携し、簡単な操作で講義収録の管理ができるようになっています。そして、事前に予約しておけば、収録開始の操作さえも不要です。収録のためにスタッフを手配することもなく、教員たちの手で扱える工夫といえます。

収録したデータは学内ネットワークを通じてPower Contents Serverに送られ、予約収録であればシラバスシステムの情報を元に自動でフォルダ分類が行われるため、管理の負担も軽く、年間2,000コマの講義を3年分保存できるストレージ容量も確保しました。

「次の日には、収録した講義を見ることができます。少ない人員で運用するには、人手をかけず運用できることが大きなメリットですね」と椎橋教授はおっしゃいます。

なお、教卓の操作盤には、教員が独自の判断で収録を開始・一時停止・停止できるスイッチがあります。これは医学部ならではの配慮です。講義では実際の症例などを画像や動画で紹介することも多く、患者さんの個人情報への配慮が必須です。そこで、こうした機能を最初から盛り込みました。さらに、教員一人ひとりに収録の同意書を提出してもらい、同意を得た講義だけ収録するようにしています。

人体の構造と機能2「情報伝達」の講義の収録コンテンツ。
学生一人ひとりに貸与されているレスポンス・アナライザーを用いて、双方向性の講義を行っている様子。

意欲ある学生の後押しが好循環を作り出すと期待

収録されたコンテンツは学内ネットワークを通じて配信され、IDを持つユーザーだけがアクセスできます。IDは、2011年1月には教員へ配布されました。

「現状では、収録数があまり多くないのが悩みです」と椎橋教授はおっしゃいます。

「2010年度の後期から収録を開始しましたが、実績は200コマに留まっています。同意書をもらえた先生は1割程度。まだ定常運用には至っていません」

しかし、6月頃には学生にもID配布が行われる予定となっており、その後の動きに椎橋教授は期待をかけています。すでに学生たちからは、早く収録を見られるようにしてほしいといった要望が寄せられており、その意欲が教員たちを動かし、当初の目的通り、教育レベルの底上げに繋がってくるのではないかと考えています。

「大学の主役は学生。彼らの学習意欲や熱意が推進力となって、講義収録の動きが拡大していくことを期待しています」(椎橋教授)

教卓に組み込まれた講義収録関連のスイッチ。
収録の開始/停止、カメラ切り替え、収録パターン切り替えなどの操作を教員の手許で行える。

講義収録・配信システム概要

USER PROFILE

埼玉医科大学
理事長:丸木 清之
本部:埼玉県入間郡毛呂山町
開学:1972年
業務内容:1892年設立の毛呂病院を前身に、埼玉県内唯一の私立医大として開学。現在では毛呂山、日高、川越、川角の4キャンパスで、医学部・大学院医学研究科、保健医療学部・大学院看護学研究科、短期大学、看護専門学校など医療関連分野の教育・研究に取り組んでいる。

(この記事は2015年4月現在の情報です)

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