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導入事例

EVS HD XT[2], Avid Media Composer Adrenaline

Avid社製ノンリニア編集機で作成した放送素材をデータ(ファイル)のままEVS社XT[2]サーバへ転送し、トランスコードすることなくファイルのまま送出するシステムを構築。DNxHDコーデックを使ったテープレスワークフローを紹介いたします。

PDFファイルを閲覧することができます。

本原稿は、「放送技術」2007年11月号掲載記事よりの転載です。
当該記事の著作権は掲載された雑誌・媒体に帰属します。

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ノンリニア編集機と送出サーバー間のファイル転送

西崎 光一

はじめに

ノンリニア編集機の普及とともに、放送素材をデータ(ファイル)として扱うことが増えています。しかし送出になるとテープを使用した運用が多く、編集段階でファイル化された素材が、またテープに戻ってしまうことも多くみられます。

送出機器側をみると、ディスクレコーダや送出サーバーの普及も進んでいます。こちらも収録時に内部にデータ化しており、ファイルの状態でハードディスクに格納されています。編集機、送出機がともにファイルで放送素材を扱っており、機器間でファイル転送ができれば、テープやベースバンドに戻すことなく放送素材をファイルのまま送出できることになります。

同一メーカーでのシステム化は比較的容易ですが、今回はその後のシステム自由度をもたせるため、異種メーカー機器を使ってファイル転送を実現しました。また、編集機・送出機とも、普及台数の多い機器を使用しているのも特徴です。

1.システム概要

写真1 Avid NewsCutter Adrenaline(HD)

写真2 EVS社製 HD XT[2]サーバー

写真3 EVS社製 X-File(HDD内蔵GW)

今回のシステムは、Avid製のHD編集機とEVS社製送出サーバー間をネットワーク接続したものです。

間にゲートウェイ端末を介してファイルによる放送素材の転送を実現しています。

■使用機器構成

  • ◇編集機(写真1):Avid NewsCutter Adrenaline(HD)
  • ◇送出機(写真2):EVS社製 HD XT[2]サーバー
  • ◇ゲートウェイ端末(写真3)
      :EVS社製 X-File(HDD内蔵GW)

にしざき こういち:仙台放送 報道制作局 映像制作部

■使用コーデック

  • Avid DNxHD 145Mbps

■使用ソフトウェア

  • ◇編集機側にインストールしたソフトウェア
      Avid製:Avid Interplay Transfer stand-alone
      EVS製:EVS Avid Browser
  • ◇GW端末側にインストールしたソフトウェア
      EVS製:Avid Transfer Manager Interface Option

2.編集機と送出サーバーのファイル互換

Avidの編集機は、独自コーデック(DNxHD)形式で放送素材をエンコードし、MXF OP Atom形式でファイルが格納されています。今年、XT[2]サーバーがこのAvidコーデック(DNxHD 145Mbps、220Mbps)をサポートしました。これにより、Avid編集機とHD XT[2]サーバー間のファイル互換がとれるようになりました。両者はX-FileというGW端末を介してファイルをやりとりします。

3.ネットワーク構成とファイル形式

Avid編集機とX-File間はGigabit Ethernetで、X-FileとHD XT[2]サーバー間はSDTIで接続されます。それぞれの機器の素材格納の形式は、

  • ◇Avid編集機:「MXF OP Atom」
  • ◇HD XT[2]サーバー:「DNxHD」
  • ◇X-File:「EVS MXF」

です。
以下に概略図を示します(図1)。

図1 概略図

4. 編集機→HD XT[2]サーバーへの転送(図2)

編集機からHD XT[2]サーバーへの素材転送は、

  1. 編集機がMXF OP atomファイルからエッセンス(DNxHD:メディアデータ)を取り出す
  2. 編集機からへX-Fileへファイル転送
  3. X-FileからHD XT[2]サーバーへファイル転送

という順序で行われます。操作上は、編集ソフトのメニューから行い、「サーバーに送信」(図3、図4)という操作を行うことで、HD XT[2]サーバーへ素材が転送されます。途中のエッセンス(DNxHD:メディアデータ)の取り出しや転送(1.〜3.までの動作)はオートメーション化されていますので、運用者は間にGWがあることを意識せずHD XT[2]サーバーへ素材を転送できます。(図5、図6に転送時のHD XT[2]サーバー画面)

X-FileからHD XT[2]サーバーにファイルを転送する際に、X-File内でEVS MXFファイルからエッセンス(DNxHD:メディアデータ)を取り出しています。

転送時には、

  • ◇「クリップ名」
  • ◇「IN点・OUT点」
  • ◇「TC情報」

が付加されます。HD XT[2]サーバー側に転送された素材は、通常のクリップと同じように扱え、ベースバンドからの収録クリップと混在も可能です。

■使用例1 編集機→送出サーバー

図2 使用例1:編集結果をHD XT[2]サーバーへ転送して送出

図5 ファイル受信中のHD XT[2]画面
(受信中は「Creating」の文字)

図6 ファイル受信後のHD XT[2]画面
(「AvidToEVS1」は編集機で付けたクリップ名)

5. HD XT[2]サーバー→編集機への転送(図7)

HD XT[2]サーバーから編集機への転送は、

  1. HD XT[2]サーバーからX-Fileへクリップのコピー(EVS MXF化)
  2. 編集機側からX-File内の素材を取得
    (X-Fileから編集機に送ることも可能)

という順序で行われます。操作上は、1.のクリップのコピー、2.の素材取得という2段階の操作が必要になります。2.の素材取得は編集機にインストールした「EVS Avid Browser」(図8)を使用することで、ニュースカッターのビンへ直接ドラッグ&ドロップ(図9)が可能です。HD XT[2]で収録した素材を粗編集し、編集機へ転送しフィニッシングという運用が可能です。また、そのフィニッシング後の素材を再度HD XT[2]サーバーへ転送して送出することも可能です。

■使用例2 送出サーバー→編集機

図7 使用例2:HD XT[2]サーバーから編集機へ素材を転送

図8 ブラウザ画面
(編集機側からX-File内のMXFファイルを参照)

図9 編集機へドラッグ
(Avid編集機のビンへ登録)

6. ファイル転送時間について

編集機から送出サーバーへのファイル転送には、

  1. 編集機からX-Fileへファイル転送
  2. X-FileからHD XT[2]サーバーへファイル転送

の転送プロセスがあります。2.部分の時間は、実時間の70%程度(約1.3〜1.5倍速)くらいの結果が得られました。しかしながら、1.の部分でほぼ実時間程度必要なため、トータルでは実時間よりかかってしまうのが現状です。今後の課題になる部分です。HD XT[2]サーバーは次のバージョンアップでファイル受信中(2.の状態)の送出が可能になるとのことですので、それが実現すれば、転送時間をほぼ実時間に近づけることが可能になると思われます。

7.参考(HD XT[2]サーバー運用例)

図10 [TL]Editor GUI

HD XT[2]サーバーは、編集ソフト(フォトロン製:[TL]Editor)と組み合わせることで、編集機のように使用できます。[TL]Editorはノンリニア編集機の様なGUIを持った編集ソフトで、収録・編集・送出を行うことが可能です(図10)。HD XT[2]サーバーに別途ワークステーションを接続し、制御します。(注:HD XT[2]サーバーの機能を使用した編集なので、多彩な映像エフェクトなどはできません)収録しながらの編集が可能で、当社ではスポーツハイライト編集に使用しています。

また、同じシステムを2式組み合わせることで、編集用の[TL]EditorとOA用の[TL]Editorという使い分けも可能です。(図11)2台のHD XT[2]サーバーで同じ素材を収録して、編集側の[TL]Editorから編集データ(EDL)だけをOA側の[TL]Editorに渡し、送出します。当社では男子ゴルフトーナメントの全国放送(JCBクラシック)があります。今年はこの2式の[TL]Editorを組み合わせた送出システムで放送しました。

図11 [TL]Editorを2式使用した時差送出システム

まとめ

今回ノンリニア編集機と送出サーバーのファイル転送に成功しました。当社にとっては、編集から送出までをファイル状態のまま行った初めての実績となりました。

使用した編集機の「Avid News Cutter Adrenaline」は編集分野において、送出サーバーの「EVS HD XT[2]サーバー」はスポーツ時差送出やスロー運用で、ともに国内外で普及台数の多い機器です。当社でも主にスポーツ番組で活躍しています。すでに両方の機器を導入済みというケースも多いと思います。

このように、ある程度普及している機器同士の接続という点にも、今回のねらいがあります。よりユーザーの多い機器でファイル転送を実現ができたことで、汎用性の高さや、システム構築の自由度が見込めます。ユーザーの多い機器であれば、専属オペレーターの必要がないため、より多くの運用者が確保できます。当社を含むローカル局においては、システム構築だけではなく、オペレーターの確保といった部分も重要になります。

また、HD XT[2]サーバー代理店の株式会社フォトロンによると、今回の機器接続は国内初の試みであったとのことです。

今後は、編集機にファイル対応メディアを接続し、ファイル対応カムコーダなどを使用することによって、取材から送出までをすべてファイルの状態で扱う検討もしていきたいと思います。

謝辞

今回のシステム構築にあたり、EVS香港様、株式会社フォトロン様、アビッドテクノロジー株式会社様の協力を得ました。この場を借りてお礼申し上げます。

本原稿は、「放送技術」 2007年11月号掲載記事よりの転載です。
当該記事の著作権は掲載された雑誌・媒体に帰属します。

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