HD対応で高度な編集が可能な“録って出し”システムのニーズ
株式会社フジテレビジョン
技術局 制作技術センター 映像技術部
岡澤 聡 氏
放送コンテンツや受信機器など、テレビのハイビジョン(HD)化が急速に進みつつある。特に、映像ソースを扱う放送機材のHD化は急務と言える状況だ。
株式会社フジテレビジョン(以下、フジテレビ)では、05年4月から全スポーツ番組をHD化した。その中で特に困難だったのは、生中継や編集ではなく、多少遅らせて放送する時差放送で用いる「録って出し」システムであったという。時差放送は、国内外のスポーツイベントなど、開催時間と放送時間に時差がある場合に使われる放送スタイルで、収録しつつ、放送までの時間差を利用して編集を行って順次送出していくというものだ。長時間に渡るスポーツイベントを整理して、あらかじめ決められた放送枠に収めるためにも編集は欠かせない。
フジテレビ 技術局 制作技術センター映像技術部 岡澤聡氏は、同社の録って出しシステムの過去の変遷を次のように説明する。
「当社が録って出しシステムをノンリニア化したのは、1997年のお台場への本社移転がきっかけでした。それまではVTRテープを用い、テープのIN-OUTを決めてロール出しするという昔ながらの方法でした。その後、05年4月のスポーツ番組HD対応のために、既存の収録・編集システム(SONY MAV-777)を応用した録って出しシステムを構築、運用していました。しかし、このシステムは暫定的なもので、収録時間や音声チャンネル、入出力ポート数などに制限がありました」
ノンリニア化に伴い、収録から編集、送出までをサーバ上で行うようになるが、編集が容易になってきたことで、その要求もより高度なものになってきていた。
「もはや、録って出しシステムは単なる遅延送出だけではありません。制作という位置付けなのです。現場のミスを直すのはもちろん、例えばコメントに合わせたハイライトシーンの編集や、インタビュー時の背景ノイズを自然にミックスしつつ消していくような編集が求められています」(岡澤氏)
安定した収録や送出が最優先、さらに担当者の作業負担も考慮
HD録って出しシステムの選定を担当し、様々なベンダーのシステムを検討した岡澤氏は、安定性を最も重視してフォトロンの提案を選んだという。
「フォトロンのシステムは送出が安定しているという感触があります。編集したロールを安定して送出できること、そして収録がエラーなく行えることがポイントですね。他社の提案では編集機能に重点を置く反面、収録や再生のパフォーマンスを左右するディスクの安定性については不安要素が多いようです。生放送なら別カメラやスタジオに逃げられますが、録って出しシステムがトラブルを起こしたら、即座に放送事故につながります」
安定性に次いで重視したのはオペレーションの点だ。
「過去の録って出しシステムの操作環境にはいくつかの不満がありました。良いところはそのまま引き継ぎ、悪いところは新システムで改善しようと考えていたのです」と岡澤氏は言う。
「そうした考えから編集端末・送出端末ともに要求仕様を策定しましたが、ゼロに近い形からの開発にも関わらず、こちらの要求を実現できる内容だったのがフォトロンのシステムでした」 |